2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K03919
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Research Institution | Niihama National College of Technology |
Principal Investigator |
越智 真治 新居浜工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (20390388)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 竹粉 / 竹繊維 / 歯車 / 耐久試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の目標は,「歯車動力試験機を用いて竹歯車の耐久試験を行い,より高い負荷に耐えられることを実証する」であった.前年度実施した「繊維強化により竹粉成形体の高強度化を図る」により,竹粉のみを用いた竹粉成形材料の場合,曲げ強度は約60MPaであったが,目標とするPOM(ポリアセタール)の曲げ強度の90MPa以上を目指していた.その結果,竹粉を竹繊維で強化し,成形温度180℃,繊維含有率70%の条件で成形材料を作製することにより約100MPaの曲げ強度を得ていた. 当該年度には,この繊維強化した竹粉成形材料を用いて竹歯車を成形し,その耐久性を評価した.歯車の諸元はモジュール1mm,歯数40枚,歯幅10mm,インボリュート歯形の平歯車である.その結果,竹粉のみで作製した竹歯車では,負荷トルク0.5Nm,1.0Nmでは10の7乗回転まで耐えたが,負荷トルクを1.5Nmとすると10の7乗回転まで耐えられず,途中で破壊していた(回転速度は1000rpm).今回作製した繊維強化した竹粉成形材料を用いて歯車を成形し,耐久試験を実施した結果,負荷トルク1.5Nmにおいても10の7乗回転まで耐えた.この結果より,竹粉を竹繊維で強化することによって,竹粉のみを用いた竹歯車よりも高い負荷に耐えられることを実証することができたといえる.今後は,さらに負荷トルクをあげた場合どのような結果が得られるか.また,竹歯車の動力試験時に生じる騒音や発熱温度に及ぼす成形温度や繊維体積率などの成形条件の影響について調査する計画である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標は,「歯車動力試験機を用いて竹歯車の耐久試験を行い,より高い負荷に耐えられることを実証する」であった.前年度に明らかにしたより高強度が得られる成形条件によって竹歯車を成形し,耐久試験を実施した結果,負荷トルク1.5Nmにおいても10の7乗回転まで耐えた.そのため,おおむね順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は「竹繊維と竹粉の配合率の関係や他の因子から歯車運転に適した竹歯車の成形条件を見いだす」である.本研究での一番の目的は,より高い負荷に耐える竹歯車を創製することである.しかしながら,この材料を歯車に加工した際,高い負荷に耐えられても,繊維強化により,物性値が変化し,これが歯車の騒音や温度,摩耗量に影響することが考えられる.いくら高強度化を成し遂げたとしても,騒音や発熱温度が大きくなると歯車として適しない.このため本研究を遂行するにあたり,竹歯車の動的な性能と繊維/竹粉の配合比との関係,成形前の含水率の調整や繊維のアスペクト比(繊維の長さと直径の比),成形温度の関係などを明らかにし,高強度化のみでなく,騒音や発熱温度が小さくなるような成形条件を見いだす計画である.
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