2020 Fiscal Year Research-status Report
マイクロインデューサに発生する液体水素キャビテーションの可視化とPIV計測
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18K03922
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 優 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (10323817)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 液体水素 / 液体窒素 / 回転機械 / キャビテーション / 熱力学的効果 / 翼端隙間 / スケール効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は数値解析、および、生じるキャビテーションの理論解析を行い、その知見を活かして供試マイクロインデューサ(直径20㎜:インデューサA)を設計した。 第二年度は、それを試験するための補器類(回転軸、軸受け、可視化窓付き試験部、流量計、圧力計、温度計など)を組付け装置を完成した。そして、水を用いた試験を実施し、JAXAより貸与されたロケットインデューサ(直径65.3mm:インデューサB)とポンプ性能の比較を実施した。この比較により、翼端隙間/インデューサ直径の比のスケール効果の解明に取り組んだ。しかしながら、マイクロインデューサを駆動するモータのトルク不足により、回転数が安定せず、特に低流量条件でのポンプ性能の正確なデータの取得ができなかった。 第三年度は、大出力のモータと5倍速の増速機を製作した。本改良により第二年度には達成できなかった安定した回転数の試験が低流量条件でも実施できるようになった。しかしながら、コロナウィルスの影響による研究室のロックダウンも重なり、第三年度に予定していた第二年度で生じた回転数不安定による低流量領域での追試験を全て実施することができなかった。 第三年度は、さらに、最終年度の水素を用いた試験に向けた装置の設計を実施した。特に、メカニカルシールは、液体水素用の構造(気密性、耐低温脆性、防爆性)を取ると、質量、および、体積が大きく、回転軸の振れ回りが激しくなることが予測された。そこで、製造メーカとともに設計と検討の試行錯誤を繰り返し、ほぼ1年間を費やした。
第二年度の試験結果を1回の国際会議と1回の国内学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第三年度は、第二年度で問題になったマイクロインデューサを駆動するモータのトルク不足により、回転数が安定せず、正確なデータの取得ができない現象を解決すべく、大出力のモータと増速機を製作した。これにより安定した試験が実施できるようになったものの、コロナウィルスの影響による研究室のロックダウンも重なり、第三年度に予定していた第二年度で生じた回転数不安定による低流量領域での追試験を全て実施することができなかった。さらに、前述の液体水素用メカニカルシールの設計が難航したため、液体水素用テストセクションの製作がやや遅延している。 第三年度までの研究の実施状況、並びに、本年度の研究の進捗状況は、当初の計画と比較してやや遅れているものの、前述のメカニカルシールの納品により取り戻せると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
第三年度は前述の液体水素用メカニカルシールのテストセクション製作遅延により第二年度に得られた検証試験を実施できなかった。 そこで、最終年度はサイズ違いのインデューサの間のキャビテーションブレイクダウン性能の変化がスケール効果に起因するという結論を証明するためには、第二年度までに達成できていない諸課題、すなわち、(特に低流量域での)流量計測精度の向上、高速度ビデオによる可視化映像の鮮明度の向上、圧力計測の高精度化・応答高速化、温度計の確度・精度の向上などを達成し、より精度の高い計測を実施する必要がある。 このため、最終年度は水を用いた可視化試験を実施し、上記の未達成課題(計測法の確立、計測精度の向上)の克服を図る。 これと同時並行で、本年度に実施予定の液体水素を用いた可視化試験の準備も進める可視化試験を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
第三年度に製造を予定していた液体水素用メカニカルシールの設計に難航し、製造できなかったため。
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Research Products
(2 results)