2019 Fiscal Year Research-status Report
Fabrication of innovative desktop trace gas concentrator by molecular exchange flow
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18K03926
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉元 宏 京都大学, 工学研究科, 講師 (50222055)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 気体膜分離 / 廃熱利用 / MEMS / 同位体分離 / 多孔膜 / 希薄気体 / 熱遷移流 / 球面配置 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 多孔膜で生じる分子交換流を利用した混合気体分離装置の実験的研究を,前年度に引き続いて行った.昨年度までの研究では,装置の駆動源である「熱遷移流」を誘起する多孔膜を1枚有するポンプ装置を最小単位とし,それらを組み合わせた気体分離能力を持つサブシステムを構築した.本年度は,上記サブシステム全体を1枚の多孔膜から構築する手法(集積ポンプ)を考案・設計し,その試作試験を行なった.新しい設計では,同一のサブシステムを容易に積層可能であり,得られる濃度変化量を増大させることが可能である.1枚および2枚の多孔膜を有する装置を完成させ,混合比50:50のHeーNe混合気体を用いて, 得られる濃度変化量が膜の枚数にほぼ比例して増大することを確認した. (2) 本研究で取り組む気体分離装置の駆動源は,多孔膜表裏間の温度差が微細孔中の分子気体に生み出す熱遷移流であり,それを利用した装置は「Knudsenポンプ」として様々な研究が行われている.ところが,実験的研究は多孔膜や多孔MEMSを利用して行われているのに対し,理論的研究は単一の流路(あるいは孔)の直径・温度分布が周期的に変化するモデルに対する研究だけである.本研究では,多孔膜および単一流路の2通りのモデルに対しDSMC法を用いた徹底的な数値解析を行い,両者の駆動原理が全く異なることを明らかにした.具体的には,多孔膜タイプにおける気体の流れは熱遷移流と孔終端の熱尖端流で定まるが,単一流路タイプにおける流れは熱遷移流と圧力駆動流で決定される.これは解析によって装置性能を改善するために必要不可欠な知見である. (3) 上記(2)の分子気体の解析では,気体分子が有意な距離を自由飛行し,分子速度に応じてその多寡が定まる.多くの分子速度に対し分子の分布を求めるため,計算負荷が高くなる.近年提案された球面配置を利用し,効率的な数値解法を考案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では,有機蒸気の分離に取り組む予定であったが,実験装置で得られる濃度変化量の増加がまだ十分ではない.今年度作成した集積ポンプでは,集積部に気体のリークがあり,性能が低下している.一方,解析の点では大きな進展があった.まず,作成中の装置の動作原理が,従来の理解とは異なることを明らかにした点である.現在,Knudsenポンプと称される熱遷移流ポンプでは,実験装置の作成指針と解析の結果に解離が見られるが,その理由が明らかになった.また,本年度,極めて効率的な分子気体流の解析法を考案した.これは,DSMCが主体となる現代の分子気体解析手法を一新する可能性がある手法である.これらの点を考慮して,やや遅れている,と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では,今年度開発した集積ポンプ装置の改修を進め,分離装置で得られる濃度変化量の増加に取り組む.現在行われている疫病対策のため,実験的研究の進展は遅れるが,その間に,球面配置を利用した新しい分子気体の解析手法を完成させ,混合気体分離装置の解析に応用する.ただし,この新しい分子気体の解析手法は,希薄気体の研究全般に大きく寄与できると考えている
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Causes of Carryover |
実験的研究の大きな問題は,実験中に機器類が故障することである.本研究では,混合気体の濃度はもちろん,圧力・温度を測定する数十個のセンサー,サンプル気体採取用の多数のモータを用いるため,必ず故障が発生する.その対応の予算であったが,今年度は故障パーツを在庫していたため,新規購入しなかった.減少した在庫は,物流が回復し次第,最終年度に順次補充を行う.
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