2020 Fiscal Year Research-status Report
Navier境界条件の再定義:固体面における流体力学的境界条件の構築
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18K03929
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大森 健史 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70467546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 康隆 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (30346192)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Navier境界条件 / 非平衡統計力学 / Green-Kubo形式 / 一般化Navier境界条件 / 動的濡れ / 分子動力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までにほぼ確立した非平衡分子動力学法(NEMD)を用いた流体力学的境界条件の同定法では,周波数ごとに十分な量の統計サンプルを取れるため高品位なデータ解析が可能である一方,解析に要する計算コストや保管すべきデータ容量は小さくない(ただし,完全に並列化できる計算であるため,計算の待ち時間は十分小さい).今年度は,平衡分子動力学法(EMD)計算において観測される揺らぎが流体力学に従うとの考え(この考えは,前述のNEMD解析結果が高周波数領域においても流体力学的予測と定量的に一致したことから正当化される)のもと,EMD計算で得られる壁面摩擦力の自己相関係数と固液摩擦係数の関係式を導出した.さらに,この関係式を用いてEMD計算が内在する周波数帯域において周波数依存する固液摩擦係数を実際に求め,NEMD解析による結果と定量的に一致することを示した.このEMDによる解析では周波数ごとにシミュレーションを行う必要がないため,計算コストは低く抑えられる.
混相流の固体境界上では動的接触線の存在下におけるNavier境界条件(一般化Navier境界条件)を考える必要がある.今年度の研究で,一般化Navier境界条件の考察においてもLangevin方程式による現象の低次元モデル化が有効であるという重要な指針が得られた.また,本研究の工学応用を見据えて,Navier境界条件に対する埋め込み境界法(この手法により複数の複雑形状境界上で滑り速度が発生するような流れ場の解析が可能となる)の開発も行い,検証計算において良好な結果を得ている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標であった単相流に対するNavier境界条件の同定法について一定の見通しが得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的な方針に当初計画からの変更はない.単相流に対するNavier境界条件については一定の成果が得られたので,接触線を伴う流れに対するNavier境界条件についても研究を進めたい.
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Causes of Carryover |
予算申請額は見積もりであり,厳密に使い切ることは困難であるため.未使用額は小額であり,使用計画に変更はない.
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Research Products
(5 results)