2018 Fiscal Year Research-status Report
エンジン曲り管内高周波脈動流の熱流動特性を用いた排気系の損失低減設計
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18K03931
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
尾形 陽一 広島大学, 工学研究科, 准教授 (10323792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 恵哉 広島大学, 工学研究科, 教授 (90156076)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 管内流動 / 気液二相流 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度研究計画である曲り管内流動場の基礎的挙動特性を明らかにするため,エンジン運転条件を模擬出来る脈動流発生装置から,時間変動する脈動空気を二つの曲り部がある矩形管内に流し,ステレオPIVを用いて曲り部での剥離やDean渦・Lyne渦など曲り部で生じる特徴的な二次流れの非定常特性の検証・考察を行った.既往研究でよく知られている,第一曲り部における定常流でのDean渦,および第二曲り部でのLyne渦が,エンジンのモータリング運転条件を模擬した高周波脈動乱流においても生じることが分かった.また,10kHzで取得した時系列PIVによる断面内二次流れ場に主成分解析を適用することで,定常流で生じるSwirl Switchingが脈動流でも生じることが第一モードから分かった.排気系を模擬した短い管長では矩形管断面においても下流で第2種二次流れは生じず,実機の排気系で用いる円管での設計にも本知見が応用できる可能性を示した. もう一つの計画である管内気液二相流流動場について,矩形断面直管内の一様空気流動に対し,エンジン排気系で想定される薄水膜を模擬した管径の5~10%程度の水膜挙動を高速度カメラで観察し,液膜飛散発生条件・飛散液滴の分裂挙動形態を気相・液膜流速,液膜厚さで評価した.,気液界面上の流体不安定成長波から,一様流中に置かれた単一液滴で生じる様々な分裂形態と同様の飛散分裂が発生し,波長サイズベースのオンネゾルゲ数が非常に小さいことからウェーバー数で飛散発生・形態が整理できる.双曲型方程式解法のCIP法・WENO法と,界面捕獲手法のTHINC/WLIC法,表面張力モデルのCSF法をベースに気液二相流の基本的なコードを構築し,観測結果を基にした次年度以降の汎用的CFDモデルの実装準備を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
矩形管内流れ場の詳細な計測から,定常流で見られた二次流れの知見に対し,管内脈動乱流における時間・空間データから二次流れメカニズムの詳細が分かり,実機エンジン状況に応じた現象解明に向けての基礎的知見が得ることが出来た.また,室温における管内気液二相流の液膜飛散・分裂条件等の基礎的知見を取得,気液二相流の基本的なコードを構築・準備を行い,概ね計画通りの進捗ではあるが,乱流場への拡張・壁面境界モデリング,非定常流下などでの検証実験の準備が遅れており,今年度までの知見を基に次年度も継続課題となっており,区分は本評価とした.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度に室温気流から高温気流へ拡張を行い,流動場の可視化計測および温度計測,数値解析結果から得られる流動場・温度場に対して主成分解析等を用いた時間・空間的評価を進め,エネルギー損失評価に繋がる知見を得ることを目指す.また,壁面粗さ・形状の管仕様,脈動周波数・平均流速等の気相仕様を変えて,流動場・熱伝達に及ぼす影響を調査する. 数値シミュレーションにおいては,各液滴分裂モデルの適用可能性,モデル間の比較検証等を大規模並列計算も用いて効率的に進める必要があり,今年度まで並びに次年度実施予定の各計測結果との整合性評価を行っていく.
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Causes of Carryover |
今年度計上していた熱流束・温度計測に必要な装置の発注目途が遅れたことに伴い,既往装置での流動場計測・シミュレーションコードの構築を進めたことが主な理由であるが,次年度以降の国内外学会発表,ならびに今年度予定から次年度にずれ込んだ論文掲載・校正等の研究成果発表に生じる費用も発生する予定であることから,実験・計測装置の改良費用と併せてこれらに予算を確保する必要が生じたため. 次年度の国内外学会発表及び論文投稿等の研究成果発表,数値解析を進める際の膨大なサイズのデータを処理するための解析ソフト,大規模ワークステーションの導入,実験に必要な計測装置および材料などの消耗品,追加工等の発注費用に使用を計画している.
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