2018 Fiscal Year Research-status Report
弱加速が乱流減衰に及ぼす影響の解明と近似解検証によるモデリング
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18K03932
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
鈴木 博貴 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (10626873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 信介 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (70190957)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 乱流工学 / 流体工学 / 流体実験 / 数値解析 / 漸近展開 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究の進捗につき、研究調書の研究計画を踏まえて進めてきた。風洞実験については、減衰乱流の風洞実験を行い、時系列データのデータベースを作成した。この中で、風洞実験はI型熱線流速計での計測に加えて、X型熱線流速計での計測についても行った。また、同一の計測条件設定において複数回の計測を行い、本熱線流速計での風洞実験の不確かさの見積もりを行った。加えて、乱流エネルギの減衰係数に関するモデル化においても成果が得られた。数値解析については、低レイノルズ数乱流について、乱流エネルギおよび散逸のレイノルズ数依存性について異方性の観点から成果が得られた。レイノルズ数が低い場合には、異方性の大きさによって、乱流エネルギのレイノルズ数依存性が定性的に異なり、この依存性はこれまでのLESモデルでは十分に予測されないことがわかった。加えて、減衰乱流の弱い加速に対する応答性を、数値解析によって調べた成果が得られた。この中では、減衰乱流において一定となるべき不変量が、弱い加速に対して敏感に応答することがわかった。加えて、先行研究で示されていた、小スケール乱れの長さスケールの弱い加速に対する鈍感性も定性的に確認された。乱流モデル近似解については、減衰乱流に及ぼす弱い加速の影響を記述する近似解を新たに導出した。例えば、高次精度化された近似解がある。これまでの近似解は、近似されるべき関数をゼロ次関数で近似していたが、あらたに導出した近似解では、その関数を高次関数で近似している。この高次精度化により、これまでの近似解の適用範囲が三十倍程度に拡大された。またこの高次精度近似を導出することで、弱い加速が減衰指数に及ぼす影響は全ひずみに対して一次関数で近似できることが示され、またその一次関数の線形勾配についても導出された。これらの成果は、査読付国際学術雑誌、査読付国際会議および国内学会において発表されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の進捗状況については、当該年度が本研究課題実施の初年度であるため、当該年度に実施した研究の成果におおむね記載のとおりである。本研究課題の進捗状況につき、査読付国際学術誌および査読付国際会議において、研究成果に記載の通りに、問題ない量の成果が得られていることから、おおむね順調に進展していると客観的に判断される。加えて、今後の研究推進方策についても、実験装置および数値解析システムに現状問題点が見受けられないことからも、おおむね順調に進展している旨が客観的に判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策については、研究調書の研究計画を踏まえて進めていく予定である。風洞実験においては、構築した風洞実験データベースを踏まえて必要な実験を行っていく予定である。この中で、風洞実験における熱線流速計計測の誤差を減少させるため、熱線流速計計測の較正法についても、検討を行っていく方策である。数値解析においては、引き続き減衰乱流及び定常乱流に関する数値解析を実施していく方策である。数値解析においては、これまでの進捗で、低レイノルズ数領域について記すべき成果が得られていることから、この点についても数値解析による研究を進めていく方策である。乱流モデル近似解については、これまでは減衰乱流に及ぼす弱い加速の影響を対象にした近似解が導出されてきたが、それに加えて、定常乱流に及ぼす弱い加速の影響を表す近似解についても検討を行っていく方策である。実現象で存在する乱流および先行研究で解析されてきた乱流につき、減衰乱流だけでなく定常乱流が広く着目されてきたことから、この観点からも研究課題に取り組む方策である。
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Causes of Carryover |
経費節約のため。当該額は翌年度分の物品費等と合算して支出される計画である。
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Research Products
(23 results)