2020 Fiscal Year Research-status Report
Accurate interface capturing for two-phase flow simulation with immersed boundary method
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18K03937
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
高橋 俊 東海大学, 工学部, 准教授 (60553930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 紘大 東海大学, 工学部, 准教授 (60401684)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 混相流 / 数値流体力学 / 固気混相流 / 気液混相流 / 埋め込み境界法 / 流体工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的である埋め込み境界法の高度化とその工学的応用として,当初の目的通り,エンジンオイルの気液二相流解析,ヒートパイプ内部の冷媒の二相流解析,さらには流体食品の非ニュートン性流体の固液混相流解析に適用し,実験との比較を種々のデータにて行った.エンジンオイルの解析ではこれまで多くはVOF法によって行われてきた二相流解析による検討を,レベルセット法とゴーストフルード法によるシャープ界面法に変えることで,実験で確認されたピストンリング周りのオイルの流量とCFDから得られる値が定量的に近いことを示した.またヒートパイプ内部の冷媒の解析では,相変化解析の開発に先立って蒸発のモデル式に基いて体積変化を気体に生じさせ,それによって生じる流れの力学的変化について検討を行い,実験で得られた現象を説明付ける可能性のある結果が定性的に確認された.また流体食品の解析では,負荷する圧力とその時の流量を再現するモデルの開発を行って,実験状況の再現は行うことが出来た.ただし,どの研究も実験での計測に限界があり,まだ完全な物理現象の確認や定量的な検証には至っていない点も多い.さらには相変化のCFD技術の構築も未だ途中であるため,そちらは現在も開発を継続している.熱流体問題を扱う際の埋め込み境界法や二相流解析における課題が,局所的な保存則の満足とそれに類する熱流束の評価にあることは世界的にも明らかになりつつある.それらに対する解決策の一つが階段状表現や非等間隔差分の導入などであることも徐々に知られていることから,現在は我々もそれらの追試験を行い,その後に新たな条件の提案に繋げられればと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
工学的応用の観点では,エンジンオイルの流出予測,ヒートパイプ内部の冷媒の流れ解析,流体食品の非ニュートン固液混相流の再現と,技術的にも発展し,実験を実証出来つつある.この点に関しては論文発表も徐々に行いつつあり,今後もその応用性と発展性を示すことは出来ると考えている.しかしながら,埋め込み境界法の原理的な点からのアプローチについてはあまり進展していない点は好ましくない.現在,上述のようなエンジンオイル,ヒートパイプ,流体食品に対する実験データの取得と応用研究は,それぞれ別々のコンソーシアムや研究機関,企業との共同研究に基いているため,解析に求められる物理量は,それぞれの観点から重要とされる比較的バルクな積分値である.このような量は細かな要素がずれていても総量として一致する可能性があるため,細かな物理現象が再現しきれているかどうかには疑問が残っている.そのため細かな要素である壁面近傍の埋め込み境界の扱いが若干おろそかになっているように思われる.そこで最終年度はそちらを念頭において研究開発に注力することを考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,エンジンオイル,ヒートパイプ,流体食品に関連して,オイル流出量,ヒートパイプ内部気液二相流動挙動,流体食品の圧力-流量特性の解析に取り組むと共に,それぞれに対してさらなる予測の高精度化を目指す.現在,流れの中で相変化が顕著に見られているのはヒートパイプであるため,特にヒートパイプ内部の流れ場の再現と相変化の影響を調査する.しかしながらヒートパイプ内部の実験計測は困難であることから,実験計測が可能な比較対象を探して細かな検証をするべきと考えている.その上で,気液界面や固液界面などの界面上でのゴーストセル,ゴーストフルード法の詳細な取り扱いについて,より深く考察を進め,新たな手法もしくは知見を発表する.具体的には熱流束の評価が重要と考えており,これまでに正確に捉えるためには境界適合格子や非構造格子で細かな計算格子の必要性が示唆されていた熱流束に対して,直交格子法でどこまで迫れるかが今後の埋め込み境界法を応用した数値解析の発展に大きく寄与するであろうと考えている.
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Causes of Carryover |
コロナウィルスによる出張旅費がなくなったことで次年度使用額が生じた.データ保存用のサーバーと計算用ワークステーションの追加購入を検討している.
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