2018 Fiscal Year Research-status Report
Research and development of passive-type high Reynolds number isotropic turbulence generator in small wind tunnel.
Project/Area Number |
18K03947
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
牛島 達夫 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50314076)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 乱流 / フラクタル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、能動的にかく乱を与えることなしに、通常の格子乱流より、等方性の成立度が高く、また、乱流エネルギーカスケードを観察できる程度のレイノルズ数の乱流を発生できる小規模の乱流発生装置を開発することである。本年度は,その目的達成のために、2種類の乱流発生格子を考案設計し、その流れ場の特性を調べた。 第一に,正方形の板を基本に,正方形の各一辺を一辺の8分の1の長さの辺32個で置き換えることを繰り返してフラクタル状に入り組んだ境界を持つ格子を設計した.研究の一年目では,1回だけ繰り返した格子を一組のみ設計し,その周りにできる後流の流れの調査をした.一般にせん断流によって発生する乱流は,流れ方向の乱れが流れに垂直方向の乱れに比べ,10~20%大きくなるが,今回検討した物体では,後流の中心部で垂直方向の乱れのほうが大きくなることがわかり,これらの格子を適切に配置すれば,より等方に近い乱流を生成できることが期待される. 第二の格子は,小物体を格子状に配置し,流路内に係留するものである.前者も場合もそうであるが,遮蔽率は,通常の格子(36%)よりも小さく25%で設計している.既に,球を係留することで,乱流が増幅されることが先行研究で報告されているので,本研究では,小物体に角部を持たせることで,はく離を誘発させ,より大きな乱れを発生する効果を狙って,円柱を係留した.乱流は期待通り,同じ遮蔽率の通常格子をより,大きな乱れを生成できることを示したが,風を水平に流した場合,特に低風速時に,係留物体は中空にして,十分に軽量に作成したにもかかわらず,係留物体は,水平に比べて,大きく下流下向きになって揺動しており,流れに垂直な面で,方向によって乱れの大きさが異なることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フラクタル形状に入り組んだ格子は,乱流のカスケードを観察するためには,これを2回以上繰り返したものが望ましいが,CADの構造解析で,最も細い部分に応力が集中し,強度の問題と格子をうまく支持できない可能性があったので,本年は1回繰り返したものだけ作成した.年度の終わりには,最終的に2回繰り返した格子の製作に着手し,強度については問題がないことを確認したが,流路内の支持設置方法についてはまだ検討する必要があり,予定した形状での流れ場測定が予定通りできなかった. 円柱を係留した格子では,係留した円柱が重力によって,水平より下方に向いて揺動するため,主流の垂直な面で方向によって乱れの大きさが異なることが明らかになった.そこで,係留方法を再検討し,主流方向と重力方向を一致させ,主流に垂直な面で方向によって乱れが変わらないように,鉛直下向き流れの仮の風洞を作成し,風洞の基本性能の確認のみで終わった. 2種類の考案した格子で,それぞれの問題を解消するために,時間を要し,乱流カスケードを調査するために,2つの測定プローブの間隔を自由に設定できる冶具の設計製作が全くできなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
1年目は,フラクタル格子および小物体係留格子の設計および予備調査を同時並行で実施し,それぞれの問題点を明らかにした.2年目は,フラクタル格子について,乱流カスケードの測定が可能となるように,2回繰り返したフラクタル形状の入り込みを持つ平板を多数製作し,実際に格子状に組みあげて,年度の後半には,乱流計測を行う. 小物体係留格子については,鉛直下向き流れの風洞を仮組のものから本格設計製作していく.上流部の縮流路は流路断面の縮小比が4対1で,測定流路は断面が26㎝×26㎝で,流路断面での境界層の発達により,流路中心部での速度が増速しないように,わずかに拡大させる.拡がり角は,取り付ける乱流発生格子や流速によって,変更できるようにする.風洞の高さは実験室の天井の高さに制約される.そこで,測定流路の長さをできるだけ長く確保するために,下流に吸い込み用の送風機を床に横置きにし,測定流路と送風機を流路内に案内羽根が付いた直角流路でつなげる.測定流路は自作設計製作し,上流側縮流部と下流側送風機部分は外部発注して製作する予定である.
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Causes of Carryover |
フラクタル境界を持つ平板の製作は入り組んだ複雑な形状で製作に困難を要すると予想したが,流路内の設置方法に依然として問題が残っているものの,学内の工場内で安価に製作できることがわかり,研究費が節約できた. 小物体係留格子による乱流は,流れ方向が水平の場合,小物体が重力の影響を受けて,それぞれの方向の乱れの強さがこちらの期待通りに生成することができない.そこで,鉛直下向き流れの縦置きの予備調査用風洞を安価で入手できる材料で製作し,将来の正式の風洞製作のために,材料設計費を節約した. 風洞は測定流路は自作設計製作し,上流縮流部と下流送風機部と全体を設置する枠構造は外部発注の予定である.
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