2021 Fiscal Year Annual Research Report
Research and development of passive-type high Reynolds number isotropic turbulence generator in small wind tunnel.
Project/Area Number |
18K03947
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
牛島 達夫 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50314076)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 格子乱流 / フラクタル / 等方性乱流 / 物体振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,小規模の風洞で低風速で高レイノルズ数の乱流を発生できる乱流生成格子を開発することである.その目的を達成するために2種類の方法を検討した.一つは円柱を格子状に係留する方法で,もう一つはフラクタルパターンの稜線をもつ平板を格子状に配置する方法である. 前者の係留格子は,遮蔽率が等しい静的格子と乱流特性を比較したところ,乱流強度は75%の増加,積分長さスケールは60%の増加が実現されることがわかった.レイノルズせん断応力はほぼゼロで,成分間の乱れ強度の差も8%以内で,実験室レベルの乱流としては十分に等方な乱流を生成できることが示された.更に,乱れ速度の2点相関測定により,2次および3次速度構造関数を組み合わせることで,2点間の距離が格子間隔の1割から2割の範囲で,カルマン・ハワースの理論式に対応する形でエネルギー散逸率を評価する方法を確立した. 後者のフラクタル格子では,フラクタルパターンを1回施したもの(N1)と2回施したもの(N2)を用意した.両者の間で乱流の減衰で大きな違いが出た.N1では,他のフラクタル形状でも報告されている指数関数減衰が観測され,特徴的な領域(高乱流エネルギー領域,高乱流生成領域)でも同様の傾向を示したが,N2では領域ごとでの傾向が異なり,その原因が流れ場の非一様性のため乱流拡散項の影響の反転にあることが示唆された.いずれの場合も相対的に上流で生成格子に近く,乱流が非平衡状態にあり,こちらの期待通りの乱流を実現することはできなかった. 係留格子は,標準的な静的格子乱流と強制攪乱方式の乱流発生装置の中間の性能を持つことがわかった.静的格子乱流よりは乱れ強度および乱流長さスケールが大きくなり,強制攪乱乱流よりは等方性に近い乱流を実現できる.一方,フラクタル形状を利用した乱流発生装置については,乱流生成機構について更なる調査が必要である.
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