2019 Fiscal Year Research-status Report
非一様な分子反射則を持つ同軸円筒間の希薄気体の運動と熱伝達に関する分子論的研究
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18K03949
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
土井 俊行 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (00227688)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 希薄気体流 / 表面物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
気体分子の平均自由行程が大きい高度に希薄な気体の流れにおいては、壁面での表面物性の非一様性が原因となって速度分布関数に特異性が現れることを、研究代表者は2015年に解明している。この特異性のため、高度に希薄な領域におけるボルツマン方程式の数値解析は困難となる。この困難を解決するため、これまで拡散反射境界の場合に対して知られている積分方程式法の拡張を検討した。その結果、2枚の平行平板間流れの場合には、片方の壁面が拡散反射境界である場合には、より広い問題に適用できる一般化された積分方程式を導くことができた。これに基づき、高度に希薄な領域における数値解を求めた。さらに、逐次近似法を用いて標準ボルツマン方程式の数値解を求める方法も評価した。この研究成果は、論文として論文誌に掲載された。 一方、研究代表者は、2019年の論文において、気体軸受けの摺動面の表面物性が非一様である場合、希薄化(ギャップと平均自由行程の比)の効果で、回転軸を偏心させる効果が現れることを解明した。その論文の計算法では、ギャップの狭さが現実の軸受けのように小さい場合は解析が困難であった。このため、ボルツマン方程式に潤滑近似を適用し、マイクロスケールのギャップに適応できる潤滑方程式の研究を行った。本研究課題の主題の一つは、物体の温度差や速度差よって引き起こされる力やエネルギー流の相互関係である。そこで、摺動面間に任意の温度差がある場合に適用できるマイクロ潤滑の方程式を導いた。相対運動する摺動面間に働く潤滑揚力におよぼす温度差の影響を明らかにした。この研究成果は、論文として論文誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
この研究課題全体を、2017年度から着手していたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年の第2論文においては、摺動面の各々の温度は一様と仮定していた。これを拡張し、摺動面が任意の面内温度分布を持つ場合に適用できるマイクロ潤滑方程式の研究を進行中である。
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Causes of Carryover |
2020年の第2論文の査読が年度末と重なり、別刷り購入費を年度内に使えなかったため。
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Research Products
(2 results)