2019 Fiscal Year Research-status Report
擬似衝撃波モデルを使った超音速タービン性能計算法の研究
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18K03957
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
苅田 丈士 中部大学, 工学部, 教授 (50358545)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 超音速 / タービン / 圧縮波 / 亜音速 / 擬似衝撃波 |
Outline of Annual Research Achievements |
マッハ2風洞を使った超音速タービンの実験を行った。更に実験にあわせた計算機シミュレーションを行いマッハ数の空間分布などの詳細な情報を獲得し、また実験よりも広い条件での結果を得た。 超音速タービン出口で亜音速に回復する際の擬似衝撃波の発生を実験および数値計算で確認することができた。実験および計算からは、タービン翼表面での圧力分布、マッハ数分布を推定あるいは算出することができた。 超音速流れがタービン翼表面上で曲げられるために圧縮波あるいは膨脹波が発生するが、圧縮波の発生により翼表面上に厚い低マッハ数層さらには亜音速層が形成されることを観察した。超音速流れにおいては理論的に生じる現象である。粘性による境界層内の低速層の発達とは別の、非粘性のメカニズムによる。そのためタービン翼下流での圧力上昇の影響がより上流にまで影響し、その影響による圧縮波が高マッハ数で流れている対面に影響を与えることが確認できた。この下流圧の影響の遡上は、その程度によってタービン動力を増加させ、また低下させる可能性があることを確認した。圧縮波により厚い亜音速層が形成されるために、直管の場合よりも擬似衝撃波は上流から発達する。同様の現象は、曲がり流路を有する超音速空気取り入れ口における減速過程でも報告されている。新しい知見であり、これまでの研究では見過ごされてきた現象・メカニズムである。これまでの超音速タービンの研究では、下流で亜音速となり圧力回復する過程とその影響について、あまり注意が払われていなかったためと思われる。 超音速タービンの準一次元流れモデルでは、圧縮による擬似衝撃波開始位置への影響をモデル化する必要がある。令和2年度の課題とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで見過ごされてきたと思われる、タービン翼圧縮側に非粘性現象として生じる厚い亜音速層が生じることを見出すことができた。研究の目的は超音速タービンの性能計算法を確立することであり、性能に影響する主たる現象を見出すことができた。よっておおむね順調に進捗していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
翼面上に発達する厚い亜音速層による擬似衝撃波開始位置の遡上を取り入れた、準一次元超音速タービン性能計算法を作成する。また実験および計算の結果を論文としてまとめる。
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Causes of Carryover |
令和2年度予定の10万円とあわせ、計算シミュレーション用の消耗品および学会参加費等に使用する予定。
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