2018 Fiscal Year Research-status Report
HDR処理を用いた感圧塗料による圧力計測の高分解能化
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18K03962
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
石井 将人 科学警察研究所, 法科学第二部, 主任研究官 (70462752)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 感圧塗料 / HDR処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
亜音速域に対する感圧塗料を用いた物体表面圧力計測法は,大気圧付近の微小な圧力変化を捉える必要があるものの,感圧塗料の圧力分解能が低いために計測が困難とされている.そこで,感圧塗料を用いた表面状態計測に不可欠な発光画像の取得に際し,異なる露出条件で取得した複数の画像を組み合わせるHDR(ハイダイナミックレンジ)処理を導入することによってS/N比を向上させ,バックグラウンドノイズに埋もれた微小圧力変化を捉えることを可能とし,圧力分解能を向上させることが本研究の目的である. 平成30年度は,計測模型の発光情報を異なる露出条件で同時に取得するための分岐光学系を構築し,この光学系を用いた画像撮影とHDR画像の合成を行うことによって,提案手法の実現可能性を評価した.その結果,構築した分岐光学系を用いることで1つの撮影対象物を3台のカメラで同時に撮影し,得られた露出条件の異なる画像からHDR画像を合成することが可能であることが確認された.さらに,分岐光学系を用いることで励起光をカメラと同一の光軸で照射することが可能となり,励起光の照射ムラに伴って生じる発光の不均一性を抑制する効果があることが確認された. また,これまでに感圧塗料の発光色素として活用されているルテニウム錯体は,紫外光に対して良好な発光情報が得られることが知られているが,構築した分岐光学系を用いて紫外光を照射することは光学素子の特性からやや困難であった.そこで,可視光を用いて励起が可能な発光色素について,その特性を評価した.その結果,波長405nmのレーザーにより励起可能なポルフィリン錯体が圧力感度を有し,表面圧力計測に利用可能であることが確認された. 令和元年度以降は,これらのシステムを用いて模型表面の圧力計測を試みる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は実験環境の構築に主眼を置き,画像取得に必要な光学系の構築と,この光学系に適した発光色素の評価を行った.その結果,令和元年度以降の実験に適した環境を構築できたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,発光色素を定着させた模型を製作し,平成30年度に構築した実験系を用いて発光情報の取得とHDR処理を行い,提案手法の効果を実験的に評価する予定である.具体的には,圧力チャンバーを用いた発光量変化に対する計測結果の信頼性評価を行うと共に,風洞実験による模型表面の圧力分布計測を進める予定である.
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Causes of Carryover |
光学系の構築を優先させ、その他の物品の購入を見合わせたために残額が生じた. 残額は次年度の物品費として使用する予定である.
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