2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of chemical kinetic model for estimationg the ignition timing of fuels with lubricant oil
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18K03966
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| Research Institution | Ibaraki University |
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Principal Investigator |
田中 光太郎 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (10455470)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | LSPI / 潤滑油 / 異常燃焼 / 自着火 / 急速圧縮装置 / 酸化カルシウム / 燃料 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
潤滑油が実用燃料の自着火を促進するメカニズムを明らかにし，その着火特性を予測可能な化学反応モデルを構築することを目的として研究を推進している．期間は3年間であり，1年度目は，実用燃料を構成する様々な炭化水素から構造別に代表成分を選択し，それらの炭化水素の着火特性に，潤滑油が及ぼす影響を検討した．その結果，潤滑油を構成する基油は燃料に寄らず自着火を促進する一方で，潤滑油を構成する添加剤は，低温酸化反応を持たない炭化水素については，着火を促進せず，低温酸化反応を持つ炭化水素については着火を促進する場合と促進しない場合があることを明らかにした．2年度目は，添加剤の燃焼生成物が炭化水素の自着火に影響を及ぼしている可能性があることから，温度を変化させて添加剤を酸化させた場合の生成物を，流通反応管を用いて明らかにした．既往の研究で，カルシウム系の潤滑油が異常燃焼に影響を及ぼすことが示されていることから，カルシウムスルホネートを用いてその燃焼生成物を明らかにした．流通反応管に，カルシウムスルホネートを設置し，酸素及び窒素を流通させて反応管の温度を変化させて燃焼させ，その生成物をイオンクロマトグラフィーで分析した．その結果，1000 K程度で硫化カルシウム，炭酸カルシウムが生成し，さらに高温になり，1200 K以上になると硫酸カルシウムと酸化カルシウムが主な生成物になることが明らかになった．また，添加剤も炭化水素成分に溶解していることから，炭化水素由来の生成物も生成しており，アルデヒド類，オレフィン類、芳香族類が生成していることを確認した．最終年度は，2年度目に明らかにした添加剤からの燃焼生成物が低温酸化反応を持つ炭化水素の自着火に及ぼす影響について検討し，潤滑油を添加した場合の炭化水素の自着火特性を表現できる化学反応モデルを構築する．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年度目は，炭化水素の自着火に影響を及ぼす因子が添加剤の燃焼生成物である可能性があることから，添加剤の燃焼生成物を明らかにすることに特化し，流通反応装置を用いて燃焼生成物を明らかにする研究計画をたてた。年度前半には，流通反応管の準備を実施し，分析装置の構築を行った．実験装置，分析装置類の準備が整った後に実験を開始し，順調に研究を推進することができた．その結果，当初の計画通り，2年度目には，流通反応装置を用いた燃焼生成物計測を行い，その成分を特定するという成果をあげた。以上の点から，当初の計画通りに順調に進んでいると判断した．
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| Strategy for Future Research Activity |
最終年度は，2年度に得られた知見を活用して，潤滑油に含まれる添加剤の燃焼生成物が炭化水素の自着火に及ぼす影響を検討し，潤滑油が炭化水素の自着火に及ぼす影響についてそのメカニズムを整理する。主要な燃焼生成物が明らかになったことから，信頼できる化学反応モデルが存在する場合には，既存の化学反応モデルを活用して，添加剤の燃焼生成物が炭化水素の自着火に及ぼす影響について検討する．一方，化学反応モデルでの検討が難しい場合には，燃焼生成物として明らかになった成分について薬品を準備し，炭化水素に添加して自着火に及ぼす影響を実験的に検討する．具体的には酸化カルシウムと硫酸カルシウムが自着火に及ぼす影響を急速圧縮装置を用いて検討する．実験及び既存の化学反応モデルを活用して得られた知見をまとめ，潤滑油が炭化水素の自着火に及ぼす影響についてそのメカニズムを明らかにする．そして，潤滑油を添加した場合の炭化水素の自着火特性を再現する化学反応モデルを構築できるように研究を進めていく．
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| Causes of Carryover |
2年度目には，流通反応装置を用いた燃焼生成物計測を行ったが，潤滑油に含まれる添加剤を燃焼させることから，反応管及び分析装置の汚損が考えられた．そのため，それらのメンテナンス費を準備していたが，汚損の程度が低く済み，メンテナンス費の使用額が当初よりも少なく済んだことから繰越金が発生した．3年度目は，2年度目に得られた成果を活用して急速圧縮装置を用いた自着火実験を行う予定であり，繰り越した予算は，その実験の消耗品及び急速圧縮装置のメンテナンス費に活用する．
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