2018 Fiscal Year Research-status Report
Investigation and Utilization of Wall Chemical Quenching Effect in Hydrogen Gas Turbine Combustion
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18K03971
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
范 勇 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (40748662)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 水素 / ガスタービン / 燃焼 / ラジカル / 表面吸着 / レーザー誘起蛍光法 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
低炭素化社会の実現のために水素ガスタービン燃焼の技術開発が重要とされている.水素燃焼の課題の一つである逆火の対策として，細管ノズルを多数集約したマルチクラスタ燃焼器が提案されている．しかし，細管ノズルから形成される水素火炎はノズル壁面と近接しやすいため，壁面への熱損失や，火炎中活性化学種(ラジカル)の消滅に起因する熱的・化学的消炎効果が著しくなる.特に化学的消炎効果に関しては，燃焼場での表面反応の評価が極めて難しいことから，その消炎メカニズムには依然として不明な点が多い．本研究では，反応機構が比較的単純な水素火炎に着目し，その燃焼の中間生成物である酸素(O)，水素(H) ，OHなどのラジカルを系統的に計測することで，異なる壁面材質における詳細表面反応モデルを構築し，化学的消炎メカニズムを解明することを目的としている.
本年度は，まず，ラジカル分布のレーザー計測に適した石英製燃焼器を試作した．燃焼器内に眼に見えない水素火炎に対して，OHラジカルの自発光の高速度撮影を行い，異なる壁温，流速，当量比条件における火炎挙動を調べた．そして，定常火炎が観察される１条件を選定し，燃焼器内壁面にInconel合金の薄膜を蒸着することで壁面材質を変化させ，OHラジカルの濃度分布を通常の単光子吸収レーザー誘起蛍光法(LIF)で測定した．さらに，これまでの燃焼研究で計測例が極めて少ないO原子の濃度分布について，2光子吸収レーザー誘起蛍光法(TALIF)のレーザー計測系を新たに構築し，計測を行った．また，H原子について，申請者らの先行研究で取得した計測データがあり，活用可能である．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標は薄型石英流路内水素火炎における壁面の化学的消炎効果の定量計測であった．これまでに，高さ1.5 mmと3.0 mmの石英製燃焼器を試作し，OH自発光の高速度撮影を用いることで，薄型流路内水素火炎の火炎挙動を明らかにした．また，内壁面に薄膜蒸着することで，バルクの壁材質を変えずに種々な材質の燃焼器壁面を製作することに成功した。そして，O原子の濃度分布計測のために， 2光子吸収レーザー誘起蛍光法(TALIF)のレーザー計測系を新たに構築し，石英およびInconel合金表面近傍におけるO原子の濃度分布をTALIFで計測した．さらに，OHラジカルの濃度分布を通常の単光子吸収レーザー誘起蛍光法(LIF)で計測を行った．H原子についても，申請者らの先行研究で取得した計測データがあり，活用可能である．今後は各ラジカルの吸着確率を精度よく見積るために励起レーザー光強度をさらに向上させる必要があるものの，本研究は，当初の目標に照らしておおむね順調に進展していると考えられる．
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| Strategy for Future Research Activity |
次年度実施予定であったモデル構築の内容を一部前倒しで実施した．燃焼器壁面におけるO，H，OH，HO2，H2O2ラジカルの表面吸着確率を仮定した初版燃焼モデルを構築し，薄型流路内水素燃焼の数値解析により各ラジカルの吸着確率が壁面近傍のラジカル濃度分布に対する感度を取得することに成功した．感度解析の結果，HO2とH2O2の表面吸着に対する感度が低いため，O，H，OHの測定のみで良い．SUS合金表面におけるH原子の吸着確率については，申請者らの先行研究で実施した分子線散乱計測とメタン火炎におけるTALIF計測により見積った．ほかの壁面材質については，今後同様の方法で計測を行う予定である．そして，O原子の吸着確率評価については，TALIF計測の精度を向上させるため，まず，励起レーザー光の発生方法の改善を試みる．このように，異なる材質の壁面に対するO，H，OHラジカルの吸着確率を定量的かつ系統的に計測することと，各ラジカルの吸着確率を考慮した燃焼解析を行うことで，化学的消炎効果の解明・モデル化を目指す．
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