2018 Fiscal Year Research-status Report
プラズマ励起燃焼のための包括的反応モデリング手法の開拓と実験的検証
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18K03975
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
小口 達夫 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90324491)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 着火 / 燃焼 / スパーク |
Outline of Annual Research Achievements |
酸素・窒素に関する電子衝突励起反応に関するデータベースを整理し,加えて,燃料分子に関する電子衝突励起反応について既往研究を調査し整理した.その結果,励起分子の多くが比較的短時間で中性分子へと戻り,特に,水素原子や酸素原子が多く残留することが予想された.また,燃料分子に関しては,電子衝突によるフラグメンテーションとしてアルキルラジカルが生成しやすいと考えられた.そこで,これらのラジカル種を起源とする,着火過程への影響を反応シミュレーションにより調査した.定容断熱反応器モデルを用い,燃料に対して酸素・窒素の混合気を反応当量与える条件の下,初期温度を600-1500Kの範囲で設定し自着火するまでシミュレーションを行った.燃料としては,ガソリンを模擬する燃料にしばしば用いられるヘプタンおよびイソオクタンを用いた.通常の燃料のみから出発する条件に加えて,活性化学種である上記のラジカル種を単独で少量(0-200ppm)添加することで着火に至るまでの時間の変化を調べたところ,いずれのラジカル種も,800K以下の低温で出発した場合に着火を早める効果をもたらし,1000K以上の高温ではほとんど効果がなかった.また,イソオクタンよりヘプタンに対する着火促進効果の方が大きくなった.しかし,2種以上のラジカル種を組み合わせて添加すると,一方の単独添加による着火の促進をむしろ阻害する組み合わせが存在することがわかった.これらのことから,電子衝突励起反応等を起源とする着火の促進効果においては,生成される励起分子やそれらから副次的に生成し残留しやすい中性ラジカル種の生成量とその比率が非常に重要であると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた既往研究の集積・データベース化が概ね終了し,さらに,電子衝突励起反応を起源とするラジカル種の重要性が明らかになり,本研究の方向性,進展の目処がついたものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
電子衝突励起反応およびその副生成物の生成過程を総合的に検討し,熱励起とは異なるプロセスが燃焼・着火反応にもたらす効果を明らかにする.特に,現状ではもっとも不足していると考えられる,一般の燃料分子に近いサイズの炭化水素分子における電子的励起種や非中性種との反応による生成物の理論計算による検討を中心に進める予定である.
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Causes of Carryover |
当該年度に雇用する予定だった学生業務補助員が別経費による雇用となったため,相当額が余剰となった.次年度においては当該額を含め,理論計算の促進,および,実験的検証へむけた準備等に使用する.
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