2019 Fiscal Year Research-status Report
Investigation and modelling of complex flow with phase change in microchannels
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18K03976
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 充弘 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10229578)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 流体相変化 / マイクロチャネル / 可視化実験 / 表面粗さ / imbibition |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題研究は,蒸気洗浄による積層鋼板の絶縁油除去を発端として,10マイクロメートルスケールの平板間隙に閉じ込められた液体が減圧下で示す複雑流れを対象として,可視化実験によるデータ解析と流体物性に基づく物理化学的モデリングを行うものである. 2年目となる2019年度は,以下の研究を行った: (1) ガラス板と高速度カメラによる可視化実験を継続した.特に,昨年度に本補助金により導入したサンドブラスト装置により,粒径の異なる研磨材(主として粒径5μm~100μm程度の炭化ケイ素砥粒)を用いてさまざまな表面粗さをもつガラス板表面を作成し,減圧下での板間隙からの蒸発過程の速度や流路形状の時間変化を解析した.実験とデータ解析は現在も継続中であるが,その一部は既に国際会議等で発表した. (2) 従来のviscous fingeringモデルなどでは考慮されていない,突沸やキャビテーションにともなう波動伝搬など,低粘度流体に特有の現象を扱う数理モデルを構築するため,毛管力により間隙内に流体が入り込むimbibition現象の実験とデータ解析を行った. (3) マクロレンズ光学系を新たに導入し,蛍光微粒子を用いたPIV手法による間隙内流動の可視化実験を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り,本補助金にてサンドブラスト装置を導入し,各種粒径の研磨材を用いることで,1μmから100μm程度の間で5段階ほど異なる表面粗さをもつガラス板を作成することができるようになった. このガラス板サンプルを使って,間隙からの液体蒸発実験をおこない,表面粗さが間隙内流動のパターンや流動速度・蒸発速度に与える影響の定量解析を行いつつあり,その結果の一部は,2019年7月の国際会議で報告した. また,同じガラス板サンプルを用いた imbibition現象の実験とデータ解析も進めており,表面粗さがimbibition速度に与える影響が議論できるようになってきた.その結果の一部は,2019年12月の国際会議で報告したほか,論文を投稿準備中である. さらに,PIV手法を利用して,蒸発が進行中の間隙内液体表面近傍の流れを可視化する予備実験をおこない,高速の蒸発気流が液体内の流動を引き起こしている様子の観察に成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的に鑑みて,最終年度に向けて次の計画を立て,取り組みを進めている. (1) 本年度の予備的PIV計測実験を受けて,やや粗めの表面粗さをもつ流路を対象として,粒径5マイクロメートル程度の蛍光微粒子を混入した液体流動の可視化実験を本格的に推進し,局所流速から間隙内流動の全体像をつかむ. (3) 毛管中の流動解析に従来よく用いられているLWモデルを出発点とし,表面粗さに由来する流路幅のゆらぎなどを考慮した新しいモデルの開発,ならびに実験との比較検証をおこなう.
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Causes of Carryover |
本年度請求額が1,100,000円のところ,前年度未使用額140,744円とあわせて,1,260,744円を本研究遂行のための物品購入(実験部材および試薬など)および研究成果発表のための旅費に使用した.おおむね計画通りの支出である.残額18,489円は次年度(最終年度)における物品購入等に充てる予定である.
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Research Products
(2 results)