2019 Fiscal Year Research-status Report
Systematic contraction of chain reaction mechanisms and combustion control
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18K03980
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三好 明 広島大学, 工学研究科, 教授 (60229903)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 燃焼工学 / 着火遅れ時間 / 火炎伝播速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は平成30年度に引き続き着火現象の解析と縮約法の検討を行うとともに、火炎伝播速度に大きな感度を持つ高温の燃焼反応素過程の検討を行った。高温で特に火炎伝播速度に重要な素過程のうち、燃料に強く依存する一連の反応、すなわち、燃料の熱分解、燃料と活性種の反応などの取り扱いを検討した。アルカン炭化水素燃料に関して、これらの高温反応は、着火現象を支配する低温酸化反応と異なり、燃料に依存する部分は小さいために、簡略化は比較的容易であることが示唆された。一方で、比較的大きな火炎伝播速度を示すためにSIエンジン燃焼でも良好な特性が示唆されているアルケン炭化水素燃料、およびバイオ燃料としての利用可能性が示唆されている二重結合を含む含酸素炭化水素であるフラン類においては、簡略化における課題が示唆された。これらの燃料の酸化過程で生成する不飽和度の高いラジカル類は、炭素数が比較的小さいにも関わらず、不飽和結合を介した水素移動過程が容易であるために、予想以上に多くの種類の異性体が反応に関与することがわかってきた。しかしながら反応性は比較的類似であることを利用した縮約が可能であると考えられる。 さらに、令和元年度はリーン条件のSIエンジン燃焼の火炎伝播初期に支配的となる、消炎限界火炎伸張のモデリングを行った。SI燃焼の点火初期の火炎伝播に効果的な燃料や添加物においては、着火遅れ時間との対比から、1200-1600 K 程度の温度領域における着火性が寄与していることが示唆された。従来から知られているルイス数との関係の議論を化学反応を含めたものに発展できる可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は初年度計画内容はほぼ予定通り完了し、いくつかの新たな知見も得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
着火現象とともに、火炎伝播現象に本質的な反応の抽出が行われた。これらの知見をもとに大規模反応機構の簡略化へのアプローチを検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は計算機環境の更新を見送ったこと、年度末の学会出張費が不要となったことにより、次年度使用額が生じた。次年度使用分については、令和2年度中に、前年度計画の計算機環境の更新に充てる。令和2年度に予定していたソフトウェアの更新は予定通り行う計画である。
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