Development of deformability capsule slurry for obtaining thermal energy transport system simulating blood flow

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K03989
• Research Institution: Okayama Prefectural University
• Principal Investigator: 春木 直人 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (10311797)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: 変形能カプセル / 潜熱蓄熱材 / カプセルスラリー

Outline of Annual Research Achievements

本研究は，単位体積あたりの熱輸送量を増加させるために，蓄熱物質を熱輸送媒体に混合させた熱輸送技術の実現に向けて，新たに血液中の赤血球をモデルとした弾性変形可能なカプセルに蓄熱物質を内封させて熱輸送媒体と混合させる技術開発を行うものである．この血液中の赤血球をモデルとした弾性変形可能なカプセルを用いたスラリーの利用は，熱輸送量の増加とともに，細い配管内でも流動可能となる特性を熱輸送媒体に付与することになり，熱媒体への蓄熱物質混合技術の実用化に大きく貢献することが期待される．この研究目的の実現のため，本研究期間にて明らかにするべき項目は，主に①変形能を持つカプセルの基本的特性の把握，②このカプセルを混合した熱輸送媒体スラリーの耐久性，流動抵抗と熱伝達特性の確認である．
平成30年度には，主に項目②に関連してスラリーの流動抵抗と熱伝達特性，および流動状態を確認する実験装置の作成と点検を実施した．引き続き令和元年度では，項目①の蓄熱物質を含有した弾性変形可能なカプセルに関する検討を行った．まず，変形可能な特性を付与することのできるカプセルの原料についての調査を行った結果，「1．寒天とグリセリン」，「2．ゼラチン」をカプセルの原料に使用すれば，変形特性の付与の可能性があることを見いだした．さらに，「1．寒天とグリセリン」のカプセルについては，製造会社よりサンプル（蓄熱物質は含有せず．粒子径2mmと3mm）を購入し，形状変化に関する予備実験を行った．その結果，カプセルを水に混入させた場合，水分により膨潤する形状変化があることを確認した．また，「2．ゼラチン」をカプセル原料とするカプセルについては，蓄熱物質として潜熱蓄熱パラフィンであるヘプタデカン（融点22℃）を含有させたカプセル（粒子径1～2mm）の試作を行うとともに，ビーカー内での攪拌実験により，耐久性に問題ないことを確認した．

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究期間内で明らかにするべき項目の内，②弾性変形を有するカプセルを混合した熱輸送媒体の耐久性，流動抵抗と熱伝達特性の確認を行うためには，十分な精度での熱輸送媒体の流動抵抗および熱伝達特性の測定と，カプセルの混合に伴う管内流動状態の把握を行う必要があるが，この項目については，平成30年度に，主に熱輸送媒体の流動抵抗と熱伝達特性の測定を行う実験装置の作成を行い，乱流領域における測定精度については，十分な測定精度での測定が可能であることを確認している．さらに，層流領域における流動抵抗と熱伝達特性の実験が行えるように，実験装置の改良を行った．
項目①変形能を持つカプセルの基本的特性の把握については，令和元年度において，本実験の目的に合致した新たなカプセルスラリーの入手と試作を行うことができた．このため，現在までの達成度としては，おおむね順調に進展していると判断した．

Strategy for Future Research Activity

令和2年度では，まず，令和元年度に入手，および試作された新たな変形能カプセルスラリーを用いて，作製された実験装置による流動抵抗と熱伝達特性の測定を行う予定である．その際には，カプセルの粒子径の違いや，カプセルに含有された潜熱蓄熱材が固体，液体，および相変化を行う場合に，流動抵抗と熱伝達特性に与える影響について把握する必要がある．
また，本研究費で平成30年度に購入したPIV測定用ハイスピードカメラを用いて，配管内を流動する場合の変形能カプセルスラリーの流動特性についても，解析を行う予定である．

Causes of Carryover

令和元年度での本研究費は，主に実験装置の作製と，変形能カプセルスラリーの購入とサンプル購入と試作費に使用された．しかしながら，変形能カプセルスラリーの試作においては，研究代表者が令和元年度に執行予定としていた価格よりも高くなることが判明したため，その時点までに令和元年度分として残っていた予算を次年度に繰り越しを行い，令和2年度配当の予算と合わせて試作購入を行う必要性が発生した．このため，余った令和元年度予算を次年度に繰り越したため，次年度使用額が生じた．
使用計画としては，この次年度使用額は，基本的にはカプセル試作および購入を行う必要があるため，その新たな消耗品費として使用する予定である．また，実験装置を適時，修正や修理や層流領域まで測定可能とするための改良に伴う消耗品費としても使用する予定である．