2018 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the frost growth process by means of the heat and mass transfer analysis bases on the frost micro structure measurement by using X-ray micro CT
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18K03994
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
松本 亮介 関西大学, システム理工学部, 教授 (50268314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 豊 関西大学, システム理工学部, 准教授 (50403150)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 霜 / 氷結晶 / X線マイクロCT / 3次元構造 / 熱物質輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の研究対象である霜層では,霜の成長とともに内部の温度分布と水蒸気分圧が時間的にも変化し,霜層内にて複雑に結晶構造を変化させながら,霜層が成長する.霜結晶構造と霜層内の熱物質輸送の関係を解明することにより,霜成長過程が明らかとなり,着霜現象の解明につながる.研究方法は,「X線マイクロCTを用いた霜層微細構造評価」と「霜層内熱物質輸送解析と霜成長過程の解明」の2つに大別される. 「X線マイクロCTを用いた霜層微細構造評価」については,2017年度にSPring-8にて取得した3次元微細構造の結晶構造の分類を行った.霜層で形成される氷結晶構造は樹枝状晶に成長する柱状結晶と,平板型の結晶の2種類のみが存在することが明らかとなった.また,卓上型X線マイクロCT装置(横浜国立大学所有)を利用し,伝熱面の表面性状が霜層微細構造に与える影響を観察した.はっ水面である場合,伝熱面から100~200μmにおいて,結晶構造の変化から霜層密度が疎となることが見いだせた. 「霜層内熱物質輸送解析と霜成長過程の解明」については,2019年度より実験データを用いて非構造計算格子を生成し,「氷結晶の熱伝導」,「霜層内の湿り空気の熱伝達」,「水蒸気の物質伝達」の熱物質輸送の連成問題を解析する計画である.2018年度では,過去に得られた3次元CTデータを用いて,幅1.5mm×奥行0.4mm×高さ1.15mmの微小領域について,氷結晶と湿り空気について試行的に3次元熱伝導の数値計算を行った.その結果,霜層から突き出た氷結晶は,急激に温度が上昇し,氷の結晶形状が変化していることが明らかとなった.今後,実験結果に基づいた数値計算を実施し,霜層内の局所温度と水蒸気分圧を求め,実験結果から求まる霜結晶構造との関係を調べ,霜結晶の成長過程を明らかにする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「X線マイクロCTを用いた霜層微細構造評価」については,当初SPring-8での計測を実施予定であったが,研究申請が採択されなかったため,横浜国立大学が所有する卓上型X線マイクロCTを用いた.霜層の3次元微細構造の計測に挑戦し,SPring-8よりは明瞭さに欠けるものの,結晶構造の判別が可能であった.その計測条件の絞り込みに時間を要したが,当初のデータを得ることが可能であった. 「霜層内熱物質輸送解析と霜成長過程の解明」については,「氷結晶の熱伝導」,「霜層内の湿り空気の熱伝達」,「水蒸気の物質伝達」の3項目の計算の内,「氷結晶の熱伝導」と「霜層内の湿り空気の熱移動」については,微小領域において計算を実施し,成果を得た. 以上より,当初の予定通り,ほぼ順調に研究は進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
「X線マイクロCTを用いた霜層微細構造評価」については,伝熱面の表面性状,特にはっ水面において霜層微細構造に影響を及ぼしており,今後,はっ水面での霜層微細構造評価を重点的に行う.それと同時に,2017年度のSPring-8での測定した3次元微細構造の時間成長に伴うデータが膨大であり,その整理を進める.その実験データを用いて非構造計算格子を生成し,霜層内の局所温度,水蒸気分圧を数値計算から求め,「霜層内熱物質輸送解析と霜成長過程の解明」を進める.
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Causes of Carryover |
2018年度の「霜層内熱物質輸送解析と霜成長過程の解明」において,3次元数値計算を行う際,霜層内の温度分布が及ぼす影響を重要視して解析したため,霜層全領域ではなく,霜層一部の微小領域について氷結晶と湿り空気の3次元熱伝導の数値計算を行った.そのため,計算負荷が低減し,大型計算機利用料金が当初の計画よりも少なくなったため,予算に余剰が生じた. 2019年度は,計算領域を拡大し,霜層全域における熱物質輸送特性を評価するため,計算負荷が増大する.そのための予算として利用する.
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Research Products
(1 results)