2020 Fiscal Year Research-status Report
静電浮遊法を利用した高温融体の定圧比熱温度依存性の計測
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18K04002
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
石川 毅彦 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (00371138)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高温融体 / 浮遊 / 輻射率 / 定圧比熱 / 偏光計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、申請者らが独自に進めてきた静電浮遊法による高温融体測定システムに定圧比熱の温度依存性を測定する機能を付加するものである。これにより、容器を用いた方法では、測定が困難な高温融体の定圧比熱を幅広い温度範囲で計測し、高温融体の熱物性データの拡充することを目的としている。このためには試料の輻射率を独立して計測する必要があり、エリプソメータによる偏光測定から輻射率を算出することを目指している。 今年度は、昨年度故障したエリプソメータを修理した後、研究を再開した。アクリル製の簡易静電浮遊炉内で球状試料を設置(棒の上に置く)し、これに直線偏光のHe-Neレーザーを照射して反射光の偏光度をエリプソメータで計測した。試料径が5mm程度の場合、安定した信号が得られたが、2mm程度試料では安定した信号が得られなかった。また、設置に用いる棒からの反射光の影響も無視できなかった。更に、信号のSN向上には、エリプソメータと試料の距離を20cm以下にすべきことが明らかとなった。当初の計画では、簡易浮遊炉(直径20cm)での確認後は、高真空静電浮遊炉(直径40cm)に装置を組込んで高温融体での測定を行う予定であったが、良好なデータが得られる見通しがないため、別の小型装置を製作することとした。ISS搭載の静電浮遊装置の開発に使用した小型真空チャンバー(直径15cm程度)を流用し、新浮遊装置の組み立てを行った。COVID-19によって予定通りの研究時間が確保出来なかったこと及びこの新浮遊装置の立ち上げに時間を要し、計画が遅延したため、研究期間の延長申請を行った。来年度は新チャンバーに加熱機能及びエリプソメータを組み付け、浮遊溶融試料の偏光計測及び輻射率計測機能確認実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19によって予定通りの研究時間が確保出来なかったこと及び高温での偏光計測機能の確立のため新たな小型浮遊装置を立ち上げる必要があったことから、計画が遅延した。このため、研究期間の延長申請を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
既に新たな小型浮遊装置では、常温の試料の浮遊まで確立している。次年度は、加熱レーザーを組み付けた後、当初の計画通りに浮遊する溶融ニッケルを用いた偏光による輻射率計測機能の確認を実施する。
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Research Products
(1 results)