2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of chatter suppression method using adaptive semi active tuned mass damper
Project/Area Number |
18K04008
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中野 寛 東京工業大学, 工学院, 准教授 (70433068)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 自励振動 / 再生びびり振動 / セミアクティブ動吸振器 / エンドミル加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
切削加工時に発生するびびり振動の抑制対策の1つとして動吸振器の適用が挙げられる.本研究課題は,びびり振動の発生限界線図の極小値を向上させる従来の動吸振器設計法とは異なり,任意の回転数において発生限界線図の極大値をとるように動吸振器のパラメータを決定する新しい設計法を提案することを目的とする.2020年度は,最適値に調整した動吸振器の固有振動数や減衰比が±10%変動した場合のびびり振動発生限界となる切込み深さへの影響を数値解析を行い調査した.その結果,従来の動吸振器設計法と比較して,提案手法で求めたパラメータに調整した動吸振器の場合,発生限界となる切込み深さが大きく変動せず,動吸振器チューニングパラメータのロバスト性を確認した.次に,動吸振器の固有振動数を調整することで任意の回転数に発生限界線図の極大値を移動可能であるという前年度までの解析結果を踏まえて,動吸振器の固有振動数を可変する機構について検討を行った.被削材に片持ちはり型の動吸振器を取り付け,動吸振器の固有振動数を可変する機構として,はりの先端に非接触の磁気ばねを配置し,磁石間距離を調整することで磁気ばねの剛性を変更して固有振動数を調整する機構を考え,磁石間距離や磁力に対する動吸振器の固有振動数の調整範囲を計算した.その結果,磁気ばねでは,想定していた固有振動数の調整範囲をとることができないことが明らかとなった.今後は別の振動数可変機構を検討し,数値解析で得られた任意の回転数範囲にびびり振動発生限界線図の極大値を調整可能な機構を有する動吸振器を設計・製作し,切削加工試験によりびびり振動抑制効果を検証する.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
動吸振器の固有振動数や減衰比が最適値から変動した場合のびびり振動発生限界に対するロバスト性について,定点理論や周波数応答の実部の最大値あるいは最小値を最小化する動吸振器最適設計法を用いた従来の動吸振器設計法と比較した.その結果,提案手法で固有振動数および減衰比を調整した動吸振器の方が発生限界となる切込み深さは大きく変動せず,動吸振器パラメータのロバスト性を確認することができた.次に,動吸振器のパラメータを任意の値に調整可能な機構を検討した.被削材に取り付けた片持ちはり型の動吸振器のはりの先端に取り付けた非接触の磁気ばねを配置し,磁石間距離や磁力を調整することで磁気ばねの剛性を変更したときの固有振動数の調整範囲を計算した.その結果,磁気ばねでは,想定した固有振動数範囲に調整することができないことが明らかとなり,現在,別の固有振動数可変機構を再検討中である.当初の予定では,振動数可変式動吸振器を製作し,加工試験によりびびり振動発生限界線図の安定ポケットを任意の回転数に移動する実験を行う予定であったが,現状実施できていないので,当初の計画より「遅れている」とした.
|
Strategy for Future Research Activity |
片持ちはり型動吸振器のはりの長さや質量を変える機構,圧電素子を用いてはりの剛性を変更する機構など,動吸振器の固有振動数を可変する機構について調査し,機構が複雑にならずコンパクトな構造を維持した振動数可変式動吸振器を設計・製作する.当初予定していた計画にしたがって,(1)設定した任意の回転数においてびびり振動の発生限界切込み深さを最大化すること,(2)定点理論を用いた動吸振器最適設計法や周波数応答の実部の最大値あるいは最小値を最小化する動吸振器最適設計法を用いた場合より,本課題が提案する手法で動吸振器を調整した場合に発生限界線図の極大値をさらに向上することができるか,(3)びびり振動発生限界を超えたびびり振動発生条件において,動吸振器によるびびり振動振幅の低減効果,加工精度への影響について切削加工試験で検証する.最後に本研究課題の総括を行う.
|
Causes of Carryover |
2020年度中に固有振動数可変機構を有する動吸振器を製作し,切削加工試験により,安定ポケットを移動し,びびり振動発生限界を大幅に向上することができることを確認する予定であったが,固有振動数可変機構および加工試験装置の設計変更に伴い,当初予定していた実験を実施することができなかった.そのため,動吸振器の製作および加工試験のために計上していた予算が未使用となり,次年度に繰り越しとなっている.この繰越金は,2021年度に使用する.
|
Research Products
(1 results)