2019 Fiscal Year Research-status Report
Vehicle Parameter Optimization Based on Bifurcation Analysis for Avoiding Hunting Motion
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18K04029
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
安藝 雅彦 日本大学, 理工学部, 助教 (60560480)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 車両力学 / 鉄道車両 / 蛇行動 / 非線形振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄道車両はある走行速度(限界速度)以上になると蛇行動と呼ばれる自励振動が発生する.蛇行動は乗客に不快感を覚える乗心地の悪化だけでなく,レールの破壊や脱線の危険すら生じる走行安全上の問題もある.従来,蛇行動を抑制するために台車と輪軸の間の支持ばねの剛性設計が行われてきた.この支持ばね設計では,レール車輪間の力の非線形性を線形化がなされている.近年ではレールと車輪間の力の非線形性を考慮した蛇行動分岐現象の解析も行われている.超臨界ホップ分岐となる車両パラメータであれば車両の運用上蛇行動発生の恐れはないが,亜臨界ホップ分岐となる車両パラメータならば蛇行動発生の恐れを含んで車両を運用することになる.そこで亜臨界ホップ分岐から超臨界ホップ分岐へと分岐特性を変更できるように車両パラメータを最適化することが必要である. 鉄道車両の非線形蛇行動に関する研究は,古くは理論解析の研究が主流であり,近年では車両パラメータを試行錯誤的に用意してシミュレーションを実施することで傾向を把握しようとするものが主流である.したがって,単純な車両モデルで非線形蛇行動の分岐解析の実施や,複雑なマルチボディシステムでいくつかの車両緒元で非線形蛇行動の分岐特性の変化を確認する研究は行われていても,最適化の観点で車両緒元の検討はなされていない. 本研究では,非線形蛇行動の分岐特性を変更できる車両緒元の最適化を図ることを目的としており,シミュレーション環境と模型実験環境の整備を進めてきた.平成29年度は単純な車両モデルを対象にMathematicaを用いた理論解析を実施し,平成30年度は模型実験を行うための実験装置の製作を行ってきた.令和元年度は実験装置の改良およびマルチボディシステムによる複雑な車両モデルを作成してシミュレーション環境の整備を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は単純な車両モデルを対象にMathematicaを用いた理論解析を実施し,非線形蛇行動の分岐特性を変更するための理論環境を整備した. 平成30年度は実験装置製作に関する項目として1/10スケール模型車両の3D-CADソフトを使用した設計およびその図面を元にした模型車両製作,模型車両走行用試験ベンチ装置の調整を実施し,理論解析に関する項目として非線形解析用プログラムの開発をMathematicaを用いて実施した. 令和元年度はマルチボディシステムによる複雑な車両モデルを作成してシミュレーション環境の整備および実験装置の改良を実施した.複雑な車両モデルを作成するためにマルチボディシステム解析ソフトSimpackを用いて高速鉄道の車両緒元に基づく複雑な車両モデルを作成した.車速を増速させる時と減速させる時で蛇行動が発生する速度が異なることを確認し,非線形蛇行動が表現できていることを確認した.さらに平成30年度に製作した実験装置を改良するため,軸ばねのばね定数を変化させた模型車両を作製した.
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度までの実績で,マルチボディシステム解析ソフトSimpackを用いた複雑な車両モデルのモデル化およびシミュレーション環境が作られている.令和2年度の研究では,マルチボディシステムによる複雑なシミュレーション環境を利用して車両パラメータの最適化を図る.最適化アルゴリズムは数値計算ソフトMATLAB/Simulinkを用いることを想定しており,マルチボディシステム解析ソフトSimpackと数値計算ソフトMATLAB/Simulinkとの連携シミュレーション(Co-Simulation)を実施する.この連携シミュレーションは,数値計算ソフトMATLAB/Simulinkにより評価関数を最適に変更していくことで車両パラメータを更新する最適化プロセスと,マルチボディシステム解析ソフトSimpackにその変更された車両パラメータ反映させて非線形蛇行動の分岐特性を確認するマルチボディダイナミクス計算プロセスの2種類のシミュレーションから構成される.この連携シミュレーション(Co-simulation)により非線形蛇行動尾分岐特性を最適化することを計画している.
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Causes of Carryover |
実験装置の再製作などの製作費が当初想定していたより安く抑えられたことで未使用額が生じた.未使用額を含む当該助成金は次年度の模型車両製作および計測環境の構築に用いる.
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