2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of soft deformation robot aiming to support rescue use
Project/Area Number |
18K04054
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
青木 岳史 千葉工業大学, 先進工学部, 准教授 (20397045)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ロボット工学 / ソフトロボット |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は,前年度に引き続き高軟質素材での造形が可能な3Dプリンタの開発と,板バネの飛び移り座屈を用いた空気圧自励弁の開発,複数節連結可能な屈曲機構の開発を行った. 高軟質素材である2液硬化型シリコーンを射出可能な3Dプリンタの開発を継続してきたが,射出後のヒートブロアによる硬化促進を正確にコントロールすることが難しく,本研究で必要とする造形精度を達成することができなかった.低圧での加圧でも大きく膨らむことはできたが,研究目的である複数本の配管の内蔵を達成する見込みが立たないため,開発環境の構築は中断することとした. 自励弁は吸気弁と排気弁で構成し,屈曲機構での進行波の生成を自励的に行うことを目的とする.自励弁は接続する2つの気室の圧力に応じて吸排気弁を切り替えることにより,2つの気室を交互に加圧することができる.これまでの研究では,排気弁は両側から圧縮されて座屈状態にある板バネをダイヤフラムとし,排気口からの圧力に応じて板バネの座屈方向を不連続的に切り替えることで,2つの排気口を交互に開閉することができた.しかし吸気弁は,流入する圧力の差に応じて流路を切り替えることができず,吸気側の切り替えが課題となっていた.そこで吸気側も板バネの飛び移り座屈を使用して切り替える方式とした.また流路を柔軟なシリコーンチューブとし,折り曲げにより流路を遮断することによって気密性の確保を行った. 隣接する節への配管を内蔵した屈曲機構を新たに開発した.複数の気室からなる屈曲部の構造を連続的に接続された単一の構造とし,内部に複数本の配管用シリコーンチューブを搭載した.配管用シリコーンチューブは屈曲部の内部ではフローティングされた状態であり,屈曲動作を妨げない.この屈曲機構を8節連結して動作実験を行い,進行波の生成と柔軟変形移動体の推進を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
改良型の自励弁は中央に飛び移り座屈を行う板バネを配置し,その板バネを流路となるシリコーンチューブへ押し付け,チューブを折り曲げて流路を遮断する.板バネの両側には2組の吸気と排気チューブが配置され,板バネの座屈によってチューブを折り曲げ流路を遮断し,座屈方向は風船状に膨張する気室の押し出しによって切り替える.現在までに改良型自励弁に2方向へ屈曲する屈曲機構を接続し,一定圧力で供給される空気圧によって自励的に屈曲方向を切り替えられることを確認した.しかし板バネの座屈方向を切り替える気室の製作精度にバラつきがあり,切り替えを同じ値の圧力で行うことができていない. これまで柔軟変形移動体を構成する屈曲機構は,低圧での駆動を可能とするために2液硬化型シリコーンでの造形を目指していたが,造形過程で必要な精度を満たすことが難しいと判断し,別の材料での試作を行うこととした.従来の屈曲機構は造形後に変形の可能な熱可塑性エラストマー(TPE)を使用していたが,層間の結合にムラがあり,気密性の確保に問題があった.そこで使用材料を熱可塑性ポリウレタン(TPU)へ変更することで気密性を向上させた.TPUはTPEと比較して柔軟性では劣るが造形物の気密性は格段に向上するため,高い圧力で駆動することが可能となった. 新たに開発した屈曲機構は,単一の連続した気室へ構造を変更したため,内部に複数本の配管用シリコーンチューブを配置することができるようになった.これにより複数の屈曲機構を直列に連結することが可能となり,外部からそれぞれの配管へ供給する空気圧によって連結された屈曲機構を独立して制御できるようになった.また連結した屈曲機構が生成する進行波によって柔軟変形移動体が推進できるところまでを実現した.
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Strategy for Future Research Activity |
自励弁は2つの気室の空気圧を切り替えるところまでを実現できたが,屈曲機構へ内蔵する段階までは実現できていない.また内部のチューブは折り曲げられた状態からの復元に時間を要するため,良好な応答性が得られていない.適切なタイミングでの流路の切り替えと,屈曲機構へ内蔵するための小型化,十分な流量の確保を目的として,今後の研究開発を進める. 新たに開発した屈曲機構は,材料をTPEからTPUへ変更することによって気密性が向上し,高い圧力でも動作が可能となった.さらにこれまでよりも短い全長で同じ変位を実現することができたため,屈曲機構自体の小型化が可能となった.そこで複数の屈曲機構で構成する柔軟変形移動体の小型化が可能になるとともに,屈曲機構の形状自体を新しく設計することができるため,新しい構成での板状柔軟変形移動体の開発が可能となった.今後は推進に必要な効率の検討も含めて,柔軟変形移動体の再設計を行いたい. また新しい屈曲機構は十分に気密性を確保した内部配管を実現できたため,より多数の屈曲機構の連結が可能となった.今後は配管の流量や自励弁の性能を考慮して,実用的な荷物の運搬が可能な大きさでの板状柔軟変形移動体の試作を行いたい.
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