2019 Fiscal Year Research-status Report
作業動特性に対する人間の認知能力解明と筋・脳賦活状態に関する解析手法の創成
Project/Area Number |
18K04063
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
積際 徹 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (90362912)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ロボット / 人間-機械協調系 / ロボットの運動制御 / マンマシンインターフェース / 脳機能解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、人間が行う運動に伴う筋肉や脳機能の賦活状態、生体・生理情報に関わる解析結果と、位置・力情報などの運動に関わるデータについて相互的に解析することにより、作業対象が有する動特性や動作特性に対する人間の認知能力・認知特性を明らかにする解析手法の創成である。提案解析手法により得られる成果は、力学的な相互作用を伴う作業の動特性・動作特性の調整や設計を定量的に実現するための有益な基盤情報になり得ると考えられる。これらの基盤情報は、“ヒトを主体とするものづくり”を支える上で有用であり、人間が扱いやすく、操作しやすい機器やロボット、操作インターフェースの設計・調整に役立つことが期待される。 そこで本研究では、作業対象の動特性(慣性、粘性、剛性)や、摩擦特性を伴う作業や運動に関する人間の応答について、光トポグラフィ装置(fNIRS)、筋電計測装置、三次元位置計測装置、力覚センサ等を用いて、人間の脳や筋の賦活状態、運動データ、生体・生理情報を計測する実験を実施し、得られたデータの解析・評価手法の検討を行った。 本年度(2019年度)の研究成果は、昨年度(2018年度)実施の研究において得られた解析手法を用いて、様々な計測実験に関するデータを解析し、人間の応答特性や運動データ、生体情報についての評価を行うことで、提案解析手法の有用性を明らかにしたことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度(2019年度)においては、光トポグラフィ装置(fNIRS)により得られる、作業・運動中における被験者の脳賦活状態に関わるデータや、筋賦活状態、ならびに、運動に関わる位置・力データを相互的に解析し、実験対象となった作業や運動に対する人間の応答特性を明らかにすることができた。当初の計画通り、研究期間の2年目において、筋肉の賦活状態、生体・生理情報、位置や力データなどに表れる運動データとともに、脳賦活状態に関わるデータについて複合的な解析を実施することで、ユニークな結果が得られ、脳と筋肉の賦活状態に関わる関係性の一端を明らかにできたと考えている。 今年度においては、作業対象の動特性(慣性、粘性)や、人間同士の協調作業を対象として実験を実施し、得られた結果についての解析を行ったところである。今後は得られた知見をもとに、研究をさらに深化させることを目的として、PDCAサイクルによる評価に基づいて継続して実験を行う予定である。次年度においては、作業対象の動特性や、人同士の協調作業特性が、ヒトの応答に与える影響に関する本質解明を目指し、データ解析手法をさら深化させ、得られた解析結果についての考察を行っていく予定である。 なお、上記の実施項目に関して得られた知見・結果については、現在、データ解析と取りまとめを行っており、一部については論文投稿ならびに学会発表を行ったところである。以上より、本年度(2019年度)の達成度は、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の3年度目となる2020年度(令和2年度)の研究計画は、昨年度に引き続いて、作業対象が有する動特性や動作特性に対するヒトの認知能力や認知特性を解明するため、光トポグラフィ装置(fNIRS)を用いて、被験者の脳機能の賦活状態に関する解析を行うとともに、筋肉の賦活状態や運動データについての解析を進めていく。これらの研究を通して、生体・生理情報を含めた複合データに関する解析結果を基に、作業対象の動特性や、人同士の協調作業特性がヒトの応答に与える影響に関する本質解明の一端を明らかにすることを目指す。また、研究の全体的な総括に向けて、本研究を通して得られた知見・結果を広く公開すべく、昨年度に引き続いて、論文執筆を行う予定である。 なお、研究が当初計画どおりに進まない場合の対応として、それぞれの研究実施段階において、PDCA (Plan-Do-Check-Action)サイクルを確立することで常にフィードバックを行い、研究実施計画に支障が生じないよう、改善を図る予定である。また、研究の総括に向けての準備も整えていく。
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