2018 Fiscal Year Research-status Report
真空圧により剛性が変化する機械要素の力学モデルの構築
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18K04064
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
満田 隆 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (30335591)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 可変剛性 / 粒子ジャミング / ソフトロボティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
粒子が詰められた柔軟な袋の内部の空気を排出し真空化すると、大気の圧力により袋が縮み、粒子どうしが凝集して粒子の運動が阻害され、袋全体が硬くなる。袋に空気を戻し大気圧にすると元の柔らかい状態に戻る。この現象はgranular jammingと呼ばれ、柔らかい状態と硬い状態を空気圧で切り替えられる可変剛性要素として、医療用の身体固定具などに利用されている。本研究は、この機構の力学モデルの構築と性能改善を目的とする。 本年度は、空気を抜くことで物体に巻き付くように変形すると同時に硬化する柔軟な板状の機構を開発し、2018年度日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会で発表した。この機構は対象物に手で巻き付ける作業を必要としないため扱いやすく、巻き付け具合が悪いために対象物と機構の間に隙間が生じて固定できなくなる問題も生じない。この機構の構造は、柔軟な袋の中に発泡スチロールビーズとスポンジを交互に並べて封入したもので、空気を抜くとスポンジが縮んで変形し、同時に粒子が凝集することで硬化する。本機構の変形量は、粒子とスポンジの封入量によって変化する。そこで、封入量を変えたときの変形特性を計測して内部空気圧と変形の関係をモデル化し、構造を最適化した。これらの成果は学術誌に投稿した。また、スポンジの硬さを変えることで曲面に隙間なく沿わせる方法を考案した。この方法は実験結果とともに2019年度日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会にて発表する。 また、イノベーションジャパン、京都産学公連携フォーラムなどで本技術の紹介を行い、産業や医療現場への応用を検討した。その結果、ニーズの多かった物体を把持するグリッパ、人体の一部を固定する装置を開発することとし試作を開始した。 研究費は主に、機構の試作に必要な材料と工具の購入費、力学特性の計測機器の購入費、研究成果を発表するための旅費に用いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本技術に対して産業界から多くの問い合わせを受けた。さまざまな応用方法が期待されたことから、2018年度の研究では「研究実績の概要」欄に記した内容以外にも新しい構造の機構を考案し、試作を行った。これらの新しい構造については現在、発表準備を進めている。また、新しい機構の開発、特性評価を行うと同時に、力学モデル作成の準備として、すべての機構に共通する外膜の剛性への影響調査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本技術はさまざまな応用が可能であると期待される反面、実用化のためには、耐久性の向上、剛性の強化、真空化機器のシステム化など多くの課題を解決する必要がある。これらの問題解決に継続して取り組む。また同時に、本年度はすべての機構に共通して存在する外膜の性能評価と力学モデル作成の研究を行う。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた摩擦係数測定器の一部である電動計測スタンドは、他の研究でも使用することになったため別予算で購入した。本研究だけで使用する摩擦係数計測冶具のみを本予算で購入した結果として残額が生じた。 圧力計測器が必要となったため、残額で購入することを予定している。
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Research Products
(2 results)