2020 Fiscal Year Research-status Report
真に臨場感を有したVRサウンドを実現するための移動音における方向知覚の解明
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18K04069
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Research Institution | Tomakomai National College of Technology |
Principal Investigator |
工藤 彰洋 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (80455097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武居 周 宮崎大学, 工学部, 准教授 (40598348)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 移動音 / 方向定位 / 最小移動可聴角度(MAMA) / HRTF / ヴァーチャルサウンド / 移動速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度実施した,最小移動可聴角度MAMA(Minimum Audible Movement Angle)を推定する実験では,被験者が3名と少なかったため,今年度は昨年度と同じ実験を5名の被験者について行なった。移動開始角度φは0°(真正面),45°(右前),90°(真右)とし,移動速度は2~32°/sまでの6種類を用いた。実験の結果, MAMAは,φ=0°では3.6°~4.9°に分布した。また,φ=45°ではMAMA=14.2°~38.6°に分布し,90°ではMAMA=12.0°~33.4°に分布した。 次に,移動により移動音の方向定位誤差を低減させる効果を検証する実験として,被験者本人および他人のHRTFを用いた移動音の音像定位実験を5名の被験者について行なった。音像定位実験は,0°(真正面)~90°(真右)までの音の方向を回答する方向定位実験と,0°~180°(真後ろ)までの音の前後方向を回答する前後定位実験に分けて実施した。移動速度は,静止音0,16,32,64,128°/sを採用した。実験の結果,方向定位実験の結果から算出した平均定位誤差は,移動速度の増加に伴う明確な変化の傾向は見られなかった。すなわち,移動音の定位のずれは,移動速度には関係しないことが推察される。前後定位実験の結果から算出した前後定位の誤り率は,側方で誤り率が高くなることから,側方を除外した前方と後方について前後定位誤り率を算出した。その結果,被験者本人に比べ,他人のHRTFで静止音の前後定位の誤り率が高く被験者では,前後定位誤り率-移動速度特性にはお椀型の特性がみられることが明らかとなった。この結果は,前後定位誤り率を最小化する最適な移動速度が存在する可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画書に記載していた、実験を実施することが出来ているものの、現状では、当初の目標であった10名程度の半数である5名の被験者の確保にとどまっている。この原因としては、新型コロナウイルス感染症予防に配慮したため、被験者数や実験時間の確保が、以前に比べて難しくなったことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年の実験の追実験を行ない、被験者数の合計を増やすことを検討している。また、これまでよりも短い時間で実験結果のデータが得られる効率的な実験の方法について検討を進めている。さらに、実験室以外でのネットワークを通じたリモートによる実験の方法についても検討を進めている。
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Causes of Carryover |
予算執行が当初の計画を大幅に下回った。その理由としては、参加を予定していた国際会議が中止になったことが挙げられる。昨年度、発表を予定していた研究成果については、今年度の秋の日本音響学会や、国際シミュレーション学会にて発表を計画している。
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