2020 Fiscal Year Research-status Report
触感取得に効果的な人工指の構造およびポリモーダル皮膚センサの配置の解明
Project/Area Number |
18K04072
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Research Institution | National Institute of Technology, Kumamoto College |
Principal Investigator |
湯治 準一郎 熊本高等専門学校, 生産システム工学系, 教授 (80332104)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人工皮膚感覚 / サーミスタ / 温度 / 変位 / 静電容量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,接触動作を伴う触感の取得に適した人工指の構造,人工皮膚の材料や形状,信号処理を含むポリモーダル皮膚センサの配置や密度を明らかにすることを目的とする.温度センサとして用いられているサーミスタ素子の周囲に水分領域を設けたものを,力や温度の皮膚刺激に応答するポリモーダル皮膚センサと定義し,これを人工皮膚材料に埋め込む方式で製作する.単一素子でありながら,触圧,温冷および湿気等の複合情報の取得し,触感を獲得する研究で,従来の触覚センシング技術とは異なるアイデアを実現させることが最大の特徴である. 本研究では,市販されている超薄型NTC型サーミスタ素子(10.0 kΩ@25 °C)と電極が直接流体媒質に触れるように先端をむき出しに加工し,それを水で満たしたシリコンチューブ内に挿入したものをポリモーダル受容器の拡大モデルとみなしている.令和元年度からの継続で,サーミスタ素子の静電容量を測定する場合には交流駆動,抵抗を測定する場合には直流駆動となるようにアナログスイッチ回路を設け,測定回路を高速に切り替えながら,それぞれの駆動方式に対応した電圧信号をマイコンへ取り込むようにしている.その後,基礎特性から得られた温度と変位を算出する二次元曲面関数を作成し,単一サーミスタ素子の温度とシリコンチューブの変位量を算出して表示するプログラムの作成・改良を行った.また,このポリモーダル皮膚センサを人工指へ組み込んで,触感取得を行う際の複数素子の接続方法および作製方法について検討した.配線数を削減するために複数素子を並列接続したものをポリモーダル皮膚センサ群とし,その信号をシリアル転送することで,人工皮膚内への埋め込みおよび処理に効果的であることがわかった.配線に用いるフレキシブル電極も静電容量検出に利用することでセンシングエリアの拡大および感度向上にも有効であることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
市販のサーミスタ素子による工作上や経時変化の課題があり,実験に用いるポリモーダル皮膚センサの製作や材料の選定・検討に時間を要したため,予定よりも遅れている.しかしながら,複数個の配置については設計指針が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
現在の構造では工作上の課題があり,チップサーミスタに変更して製作を試みる.経時変化の影響もまだ残っているため,定期的にキャリブレーションする機能を付加するなど,実際に使用することを想定した処理方法の検討も必要である.これらの検証結果をもとに,複数配置と人工皮膚への組込みと実証実験を試みる.
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Causes of Carryover |
オンライン学会で旅費を使わなかったため次年度使用額が生じた.各種機能実現に必要な電子部品や消耗品の購入に使用する.他には,学会登録費,論文投稿料に使用する.
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