2019 Fiscal Year Research-status Report
電気特性均一化により太陽電池システムの発電量向上を実現するモジュラー補償器の開発
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18K04078
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
鵜野 将年 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (70443281)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 太陽電池パネル / 部分影 / スイッチトキャパシタ |
Outline of Annual Research Achievements |
多直列接続の太陽電池(PV: Photovoltaic)パネルで構成されるPVストリングでは,部分影が発生した場合,パネルの電気特性ばらつきが生じる。電気特性ばらつきはストリング全体の発電量の大幅低下のみならず,複数の最大電力点(MPP: Maximum Power Point)の発生に起因するMPP追尾制御の誤動作を招く。部分影による悪影響を解消する為,様々な部分影補償器が研究されているが,過去の研究で我々はその1つであるスイッチトキャパシタコンバータ(SCC: Switched Capacitor Converter)を基礎とした,モジュール単位で拡張可能なACモジュラーSCCを提案してきた。このACモジュラーSCCは直列接続されたパネルとパネルレベル補償器で構成されるモジュールを、モジュールレベル補償器を介してAC結合することで導出される。しかしモジュール間に高周波AC電流が流れる為,モジュール間を接続するケーブルインダクタンスに起因するノイズによって回路故障が危惧される。したがって,モジュール間距離を狭めて設置しなければならないという回路設置における課題を有する。 本研究ではモジュール間接続にDC結合を採用したDCモジュラーSCCを提案する。提案補償器は回路内のコンデンサがパネル電圧を受け持つことでモジュール間をDC結合するため,ケーブルインダクタンスに起因するノイズの低減が可能となり,モジュール間ケーブルの伸長により回路設置制約も緩和できる。また,パネルレベルとモジュールレベルの2レベルで補償を行い,モジュールを追加することで回路の再設計を要することなく任意にパネル数を拡張できる。 試作回路を用いて部分影が発生した状況を模擬した屋内補償実験及びフィールドテストを行った結果,最大抽出電力の向上とMPPの収束を確認したことから提案補償器の有効性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4直列パネルから成るモジュールを、3モジュール用いたシステムに対する実機評価試験より、部分影の発生した太陽光発電システムの発電量を飛躍的(数十パーセント)向上できることを実証した。また、本研究で開発したモジュラー補償器の理論解析も完了しており、設計指針の確立も完了しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
補償器を用いてパネルの健全性診断を行うアルゴリズムの開発に取り組む。具体的には、パネルの電圧差を用いて状態を診断することで補償器の動作を最適化可能な制御アルゴリズムを提案する。
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