2019 Fiscal Year Research-status Report
Control of Vacuum Arc Cathode Spot Movement for Development of High Speed Removal Method of Oxide Layer
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18K04086
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
岩尾 徹 東京都市大学, 工学部, 教授 (80386359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 憲吏 東京都市大学, 工学部, 准教授 (20638134)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アーク放電 / 陰極点 / 酸化膜除去 / 高速度カメラと画像処理 / 三次元電磁熱流体シミュレーション / 陰極点挙動 / プラズマ / 3R |
Outline of Annual Research Achievements |
真空アークによる酸化膜除去を模擬した3次元電磁熱流体シミュレーションを開発し,真空アークの母材や酸化膜からの蒸気を加味した陰極点のエネルギーバランス,蒸発過程,溶融過程の解析,並びに,横磁界印加時の陰極点の逆行運動の解析を行った。陰極点の移動は,陰極近傍におけるイオンにより誘発されると考えられるため,本解析では,イオン導電率やイオンの移動により生じるイオン電流を算出することで,真空アーク陰極点の移動の解析を行った。結果として,横磁界が印加されると,イオンと高温ガスが対流により輸送され,陰極点近傍ではイオン電流密度が電子電流密度よりも大きいため,横磁界による電磁力に対して陰極点は逆行運動することが明らかとなった。 さらに,陰極点の高速移動現象解明のため,複数陰極点林立を模擬し陰極点を5つ配置した非定常解析を行った。結果として,複数林立した陰極点は,時間経過に伴い1つの陰極点の直上で高温部が集中し,残りの陰極点は消滅した。この複数陰極点消滅の要因解明のため,横磁界を印加し計算を行った。横磁界とイオン電流が作る電磁力により高温ガスが輸送され,1つの陰極点直上のイオン導電率が増加し電流が集中して流れることで,複数陰極点が消滅し,電磁力の向きに陰極点が1つとなった。 これらの結果から,陰極点近傍のイオンに働く電磁力が移動のトリガーとなり,電磁力による移動方向決定後は圧力勾配による力が駆動力となって陰極点が移動することが明らかとなった。これにより,横磁界の強弱や時間,向きをパワーエレクトロニクスにより高速に制御する手法を用いた制御手法の提案が可能となった。 また,2対のヘルムホルツコイルに流れる界磁電流をマイコンやFPGAを用いて制御することで,印加する交番磁界とパルス磁界のタイミングを変え,陰極点の移動を矩形に制御することが可能になった。このため、昨年度の課題を改善することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
真空アークによる酸化膜除去を模擬した3次元電磁熱流体シミュレーションを開発し解析を行った。陰極点の移動は陰極近傍におけるイオンにより誘発されると考え,本解析では,イオン導電率やイオンの移動により生じるイオン電流を算出することで,真空アーク陰極点の移動の解析を行った。結果として,横磁界が印加されると,イオンと高温ガスが対流により輸送され,陰極点近傍ではイオン電流密度が電子電流密度よりも大きいため,横磁界による電磁力に対して陰極点は逆行運動することが明らかとなった。 さらに,陰極点の高速移動現象解明のため,複数陰極点林立を模擬し陰極点を5つ配置した非定常解析を行った。結果として,複数林立した陰極点は,時間経過に伴い1つの陰極点の直上で高温部が集中し,残りの陰極点は消滅した。この複数陰極点消滅の要因解明のため,横磁界を印加し計算を行った。横磁界とイオン電流が作る電磁力により高温ガスが輸送され,1つの陰極点直上のイオン導電率が増加し,電流が集中して流れることで,複数陰極点が消滅し,電磁力の向きに陰極点が1つとなった。 これらの結果から,陰極点近傍のイオンに働く電磁力が移動のトリガーとなり,電磁力による移動方向決定後は圧力勾配による力が駆動力となって陰極点が移動することが明らかとなった。以上より,横磁界の強弱や時間,向きをパワーエレクトロニクスにより高速に制御する手法を用いた制御手法の提案が可能となった。 また,2対のヘルムホルツコイルに流れる界磁電流をマイコンやFPGAを用いて制御することで,印加する交番磁界とパルス磁界のタイミングを変え,陰極点の移動を矩形に制御することが可能になった。 以上より,来年度に行われる真空アーク陰極点の移動制御手法の開発に向けた,電磁熱流体シミュレーションによる陰極点の移動要因の検討と解析的な現象解明,並びに,磁界制御装置の開発が可能となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は,予定通り,本研究の最終目的である,超高速酸化膜除去に向けた真空アーク陰極点の移動制御手法の開発を完遂する。令和元年度に行った電磁熱流体シミュレーションによる移動要因の検討を元に,圧力,電極間距離,電流を最適なものとし,平成30年度,令和元年度に開発した磁界制御装置を利用して,横磁界の強弱や時間,向きを高速に制御し,超高速酸化膜除去へ向け真空アーク陰極点を電磁力で制御して行く。得られた知見は,国際学会や電気学会にて発表し,研究者との意見交換を行うと同時に,論文誌への投稿を行うとともに,まとめを行う。
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Causes of Carryover |
電気学会全国大会の中止、コロナ感染症対策、大学の浸水などにより、学会参加費、旅費、物品購入費の執行ができなかったため。ただし、研究自体は、おおむね順調に進めることができている。 今後の使用計画としては、購入できなかった物品の購入、学会の参加などの費用に使用する予定である。
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