2018 Fiscal Year Research-status Report
Reconstruction of a forecasting method of electric power loads using auto-tuning type correntropy
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18K04087
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
福山 良和 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (10710022)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 翌日最大電力負荷予測 / 異常値を含む学習データ / コレントロピー / 進化計算手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
電力会社において,翌日のピーク対応のガスタービン等の発電機の準備や揚水発電機の揚水量の決定のために,重要な情報となる翌日の最大電力負荷予測に対し,学習データに計測器の故障やネットワークの一時的な故障などによる異常値を含む場合に,従来型ニューラルネットワーク(ANN)のパラメータ学習に対し,コレントロピーを誤差関数として利用し,パラメータの調整に最新進化計算であるDifferential Evolutionary Particle Swarm Optimization(DEEPSO)を用いた方式を開発した。2018年度に開発した手法は,従来の誤差関数に最小二乗法を用いたバックプロパゲーション手法やPSOを用いた手法より,特に学習データ中の異常値率が高くなった際に,予測精度が他の手法より下がることなく,学習が可能であることを確認した。 特に新電力においては,既存の電力会社と比較し,運用ノウハウの蓄積がないこともあり,学習データに異常値を含む割合が多くなっている。このような実務環境においては,従来,既存電力会社においても,異常値を手作業で除去するようなエンジニアリング業務が発生しており,長時間の作業を強いられてきた。これに対し,今回,開発した方法では,学習データに異常値を含んでいても,誤差関数にコレントロピーを用いることにより,異常値を除去するようなエンジニアリングを必要とせず,自然に異常値を無視した学習が可能となり,現場のエンジニアリングを大幅に削減できることが確認できた。この結果より,我が国が進めている新電力などによる電力分野の自由化の進展を促進することが可能となりえると考えられ,非常に意義深い結果と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電力会社において,翌日のピーク対応発電機の準備や揚水発電機の揚水量の決定に重要となる翌日の最大電力負荷予測に対し,学習データに異常値を含む場合に,従来型ニューラルネットワーク(ANN)のパラメータ学習に対し,コレントロピーを誤差関数として利用し,パラメータの調整に最新進化計算であるDifferential Evolutionary Particle Swarm Optimization(DEEPSO)を用いた方式を開発できた。予定通り,コレントロピーを誤差関数に利用することにより,従来の最小二乗法を用いたバックプロパゲーション手法やPSOを用いた手法より,特に学習データ中の異常値率が高くなった際に,予測精度が他の手法より下がることなく,学習が可能であることを確認できた。コレントロピーのカーネルサイズの最適化手法の確立については遅れているが,ニューラルネットワークのパラメータ学習に,最新の進化計算手法であるDEEPSOを適用することにより,学習データ中の異常値率が高くなった際にも,推定精度を下げることなく推定ができることを確認できたため,この部分については,予定にない成果をあげたと言える。 予定では,2019年度より研究発表を予定していたが,前倒しで国内学会2件,国際学会1件(採択済で発表は2019年度)の研究発表を行うことができた。 以上より,全体としては,おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は,研究の最初として,電力会社において,翌日のピーク対応発電機の準備や揚水発電機の揚水量の決定に重要となる翌日の最大電力負荷予測を対象として研究を開始し順調な進展ができた。しかし,予測業務において,学習データに異常値を含む可能性が高いのは,電力会社ほどに,現場の機器や通信ネットワークの信頼性を高くできない工場・ビル・マンション・家庭等の負荷予測を行う必要があるエネルギーマネジメントシステム(EMS)であり,2019年以降は,ビルEMS(BEMS)を対象に研究を進める。具体的には,明治大学中野キャンパスがBEMSの例となっており,異常値を含む負荷実績値データを入手できており,これを用いて研究を推進する。 2018年度に実施した様々なコレントロピーの適用論文の調査から,正規分布型の関数の鋭利性を決定するカーネルサイズの調整が,現在,試行錯誤で行われており,大きな課題になっていることが改めて明確になった。従って,予定通り,コレントロピーのカーネルサイズの自動調整方法についての検討を進めていく。カーネルサイズの調整に関しては,当初予定していた統計的プロセス管理手法だけでなく,広く様々な統計的手法等の適用を検討していく。 また,予定通り,近年,画像処理などへの適用で有効性が確認されている畳み込みニューラルネットワーク(以下,CNN)やStacked Autoencoder(SA)などの高次ANN手法の選択についても検討を進める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額(B-A)は全体の6.6%のみであり,2018年度は,ほぼ予定通りの支出となっているが,若干の支出が残ったと言える。2019年度は,担当学生を1名追加しており,当初予定より論文投稿数をあげて予定している。具体的には,論文誌2件(電気学会論文誌B),国際学会3件(IFAC2019(採択済),IEEE SSCI2019,IEEE ICAIIC2020),電気学会部門大会・研究会5件(電力・エネルギー部門大会2件,電力技術・電力系統技術合同研究会1件,システム・スマートファシリティ合同研究会1件,全国大会2件)。この研究発表の増加により,次年度使用額を支出する予定である。
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