2019 Fiscal Year Research-status Report
高電界中における蓄電デバイスの充放電現象立証と解析
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18K04089
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤田 洋司 金沢工業大学, 工学部, 教授 (40720222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 正人 金沢工業大学, 工学部, 教授 (30748744)
河野 昭彦 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (40597689)
漆畑 広明 金沢工業大学, 工学部, 教授 (40723367)
花岡 良一 金沢工業大学, 工学部, 教授 (90148148)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Lithium ion batteries / High electric field / Corona discharge |
Outline of Annual Research Achievements |
リチウムイオン電池(LIB)は他の二次電池に比べ重量・体積エネルギー密度,出力密度ともに高いため,携帯機器用途に広く普及した。しかし,取り扱いを誤ると発火などの危 険性があることが課題のひとつである。今後,電気自動車への適用拡大に伴い,リチウムイオン電池のコスト低減が見込まれる。そのため,リチウムイオン電池を大容量の電力平準化デバイスとして電力系統に組み込むことも検討されている。将来リチウムイオン電池が変電所に設置されることも想定されており,電池の近傍に落雷があった際に高電圧パルス・高電界によってリチウムイオン電池の組み込まれている電力システムが影響を受ける可能性がある。これまで,高電界中のリチウムイオン電池の直流・及び交流高電界中の充放電現象、直流高電界中のリチウムイオン電池の過充電現象を検証し 平成30年度の成果として①を平成30年度得た。さらに平成31年度には②、③を明らかにした。さらに①から③の内容をまとめ高電圧関係する技術者・研究者が集う、ISH2019において報告した。 ① 針電極先端のコロナ放電によって,リチウムイオン電池内部で化学反応が起こり,電池の両極が共にギャップの場合でも充放電反応が生じる。 ② コロナ放電による充放電現象が起こっても,本実験の条件下では微小な電流が流れるだけであり,リチウムイオン電池の劣化への影響はない。 ③ 交流高電圧をギャップを介して印加した場合にも,コロナ放電の極性による違いによってリチウムイオン電池は充電される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交流高電圧をギャップを介して印加した場合にも,コロナ放電の極性による違いによってリチウムイオン電池は充電されることを見出し、その原因がコロナ放電の極性による放電電流の違いによるものであることを明らかにした。さらにこれまでの結果に合わせ、この結果も一部国際学会において報告することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年あげた「高電界印加時の電気化学系の状態把握技術の改善」にも取り組みつつ、さらに今年度は「高電界中における実電池の過充電状態の検証とその影響解析」に注力する。 1kVを越える高電圧、高電界下で電気化学系のインピーダンス等の測定は計器耐電圧の制限により困難になる。その帯電電荷が電気化学系に及ぼす影響も加味して、電気化学系デバイスの状態把握できるように計測系を改良する過程に学術的創造性がある。さらに、LIB 用電解質は、水分により悪影響を受けるため、実験系の組み立て、配線、測定まで極低露点雰囲気で実施することが不可欠となり、より困難な課題となる。さらに、LIBのインピーダンスは気中放電のインピーダンスに比較し小さく、一般的なLIBを用いても分配される電圧が小さく、解析が困難である。電極面積を極端に小さくし、かつ電解液の周囲へのマイグレーションを押さえた寿命評価も可能な研究用LIBの開発も学術的な創造性が必要な課題である。
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Causes of Carryover |
理由:購入機器価格が想定よりも低くなったため。 使用計画:針電極、電池フレーム等の消耗品用途にて使用する予定。
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