2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of non-thermal formation method for high-quality zinc oxide thin films using atmospheric pressure low temperature plasma
Project/Area Number |
18K04094
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
赤松 浩 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10370008)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大気開放型低温プラズマ / 酸化亜鉛薄膜 / 酸素ラジカル / 酢酸亜鉛溶液 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化亜鉛薄膜を大気圧下かつ低温で形成することができれば、耐熱性の低いフレキシブルフィルムへの透明導電薄膜の量産化が期待できる。薄膜形成技術の一つである塗布熱分解法では、大気圧下での薄膜形成が可能であるが、反応に熱エネルギーを要することが問題であった。本研究課題では、反応エネルギーとして熱に代わる大気圧低温プラズマの化学反応を応用し、大気圧下かつ低温での酸化物薄膜の形成を目的とした。
プラズマ化学反応を利用して酸化物薄膜を形成するには、プラズマ中の酸素由来のラジカルが必要である。そこで今年度は、大気圧低温プラズマ源として大気開放型の低温プラズマ源を3Dプリンタで試作し、プラズマ中に生成されるラジカル種を評価した。大気開放型低温プラズマ源は、アルミナ板を誘電体としたシングルバリア放電方式である。キャリアガスにはヘリウム、反応性ガスとして酸素を混合した。ラジカルの計測結果から、ヘリウム2 L/min+酸素20 mL/minでプラズマを発生したときが最も酸素ラジカルが高密度になることが分かった。
さらに、酢酸亜鉛溶液およびアンモニア水で作製した前駆体溶液を用い、前述の大気開放型低温プラズマを用いてPETフィルムへの酸化亜鉛薄膜の形成実験を行った。PETフィルムへ前駆体溶液の塗布およびプラズマ照射を繰り返した。作製した試料をX線回折で評価したところ、酸化亜鉛に関するピークが現れたことにより、酸化亜鉛薄膜の形成が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、大気開放型低温プラズマ源の試作とこれを用いて生成できるラジカル種の評価を目的とした。プラズマ源はキャリアガスと反応性ガスを混合し、放電部に送り出せる機構を新たに採用したため、過去に本研究室で用いていたプラズマ源に比べ酸素ラジカルの生成量が明らかに増大した。また、キャリアガスにヘリウムとアルゴンを用いた場合を比較したところ、酸素ラジカルを生成するにはヘリウムが適していることも明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の実験において、酸化物薄膜形成に必要な酸素ラジカルを生成できる大気開放型低温プラズマ源を開発でき、さらに酢酸亜鉛溶液をスタート材料としてPETフィルム上に酸化亜鉛薄膜を形成できることが明らかになった。
今年度は、プラズマ照射の条件を検討し、高品質な酸化亜鉛薄膜を形成できる条件を明らかにするため、提案法による酸化亜鉛結晶成長機構を解明する。また、形成した酸化亜鉛薄膜の光学的および電気的特性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
プラズマ原料ガスにヘリウムと酸素を用いている。今年度は酸素ガスの使用量を少量としたため、当初予算より費用が小さくなった。また、旅費として大学の実験装置の使用を計画していたが、今年度は勤務校での計測器の使用を重点的に行った。これらのことから、次年度使用予定額が0より大きくなった。
2019年度はプラズマを用いた薄膜形成を重点に行うので、繰り越し分を薄膜原料材料の購入に使用することを計画している。
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Research Products
(3 results)