2019 Fiscal Year Research-status Report
エアロゾル中における病原性微生物の新たな滅菌技術の構築
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18K04096
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Research Institution | Oita National College of Technology |
Principal Investigator |
上野 崇寿 大分工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (30508867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 隼士 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (90632729)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インパルス高電圧 / エアロゾル / バンコマイシン耐性腸球菌 / レジオネラ / 滅菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
高電界発生装置によりエアロゾルを捕集し殺菌を試みた.培養したグラム陽性菌のバンコマイシン耐性腸球菌(Vancomycin-Resistant-Enterococcus.faecium : VRE)ならびにグラム陰性菌の大腸菌(Escherichia coli : E.coli)を生菌数10^6 CFU/mlに希釈し密閉容器内において菌液を超音波霧発生器によりエアロゾル化した.エアロゾル化では,殺菌されず,エアロゾル中に菌が含まれていることを確認した.容器内の平行網電極に直流電圧15 kVを20 分間まで印加し,エアロゾルの凝集を行い,その時の菌数をカウントした. 水槽内の菌液をコントロールとして,壁面と電極網に付着した液滴及び電極網の下部に設置した箱内の三箇所の不活化率を確認したところ,菌種によらず不活化は箱内の全箇所において確認された.壁面と比較し電極網付近にて菌数が大きく減少し,20 分間の印加時にはE.coliは 3.0 log程度の不活化率を示した.また,菌種の違いについては,グラム陽性菌であるVREがE.coliより不活化率が低く,1.0 log以上の差が見られた.水溶液中の滅菌と同様にグラム陽性菌と陰性菌では膜壁構造に違い(ペプチドグリカン層の厚さなど)があり,それが電界印加時における不活化率の差となっていると考えられる. また,電界以外の要因による殺菌効果を確認するため,電極近辺にKI-デンプン水溶液ゲルを設置し活性酸素の発生を確認したところ,ゲルが大きく呈色したことから活性酸素による殺菌も示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高電圧印加によるエアロゾル凝集後の細菌不活化に関しては,E.coliに対し20分間の印加を行うことで不活化率 3.0log程度を示した.また,高電圧印加により電極間にコロナ放電が発生し,活性酸素を生じさせていることがKI-デンプン水溶液ゲルを用いることで確認された.発生した活性酸素が細菌の不活化へ寄与していることが示唆された. 以上より当初の予定であった,菌種による不活化率の違いならびに電界以外の不活化の原因の推定まで行うことができ,当初の計画通りに進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,不活化の一因となっている活性酸素の同定をさらに細かく行う必要がある.具体的には,活性酸素の1つであるオゾン水濃度測定や,電極間に発生した放電光の分光により活性種を特定する. また,より実空間を模した容積の大きな空間におけるエアロゾル凝集および不活化の確認を行う.本年度と同様に,開空間下で電圧印加を行った際のエアロゾル中のオゾン濃度,KI-デンプン水溶液ゲルを用いた活性酸素の空間分布などの測定,電界によるエアロゾル中の細菌不活化を行う予定である.
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Causes of Carryover |
2月から3月にかけ予定していた実験及び学科による出張がコロナウイルスによる影響ですべて中止となったため.
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Research Products
(8 results)