2019 Fiscal Year Research-status Report
パールチェーン型トリーのバブル挙動と液中放電開始時の気泡との関連性に関する研究
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18K04105
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
井堀 春生 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (70249861)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 電気トリー / シリコーンゲル / パールチェーン型トリー / 部分放電 |
Outline of Annual Research Achievements |
引き続き、シリコーンゲル中に発生する電気トリーの発生と進展に関する考察を行った。 パールチェーン型トリーは、枝分かれが少なく、管径が太い形態のモード1、その後、枝分かれが多く、管径が細いモード2の形態に変化した。また、モード1から2へ変化する際は正極性であることが分かった。進展速度は、モード1は小さく、モード2に変化すると急激に上昇した。さらに、モード1の形態では、トリーの内部全体が発光している様子が観測された。これは、トリー内部の電離気体が気中放電を引き起こしていると考えられる。モード2においては特異的な発光が見られた。モード1,2では異なる放電形態であることが示唆された。 また、液体とゲル中の高電界現象の関連性を探るため、より架橋度の低い(液体に近い)シリコーンゲル中でのトリー観察が行われた。粘性の低いシリコーンゲル中のトリーは、寸胴型のくびれのないトリーとなり、また、パールチェーン型のトリーよりも進展速度が速かった。これは、エネルギーの損失の観点から考えると、くびれのあるトリーと寸胴型のトリーとでは、寸胴型のトリーの方がエネルギーの損失が少ないためだと考えられる。 粘性材料中での電界測定に関しても検討された。一定時間電圧を印加した後の定常状態での高粘性液体中の電界は時系列で測定が可能であると言えるが、過渡的な状態において、光学素子による光強度の減衰率の計算や、FFT・IFFTを用いた波形処理などを行い電界の計算を試みたが測定電界と理論電界の差が大きく、カー効果のみによる光強度変化をいかにして取り出すかが今後の課題である。 以上の結果を電気関係学会四国支部連合大会、電気学会基礎材料共通部門大会会にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パールチェーン型トリーの発生・進展に関する新しい知見が得らえていること。また、バブルの挙動やトリーの進展と印加電圧の極性の関係も明らかになってきている。 ゲル状の粘性液体中と液体中の電界の時間変化に関する実験も実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
・引き続き、パールチェーン型トリーの進展について考察をおこなう。 ・ゲルの架橋度を小さくし、粘性の小さい試料に対する実験データを増やし、粘性によるトリー進展の違いについて検討する。 ・ゲル中の電界測定の時間変化測定について、カー効果を用いることができないかを検討する。
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Causes of Carryover |
3月に開催が予定されていた電気学会全国大会において、当該研究成果を発表する予定としていたため、そのための参加費・旅費等の経費を残していたが、開催が中止となったため。
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