2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of a wireless power transmission system based on vector control of electrical machine.
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18K04106
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
井上 征則 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50580148)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 電気機器工学 / パワーエレクトロニクス / 非接触給電 / 回転機制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
電磁誘導方式によるワイヤレス電力伝送システムについて、コスト増加や信頼性低下を招くセンサ類を多く設置するのではなく、最低限の情報(コイルの電圧と電流など)を用いて伝送電力を最大化できる制御法を構築する。本研究では、既に多くの数式モデルや制御法が報告されているモータ駆動システムの数式モデルと制御法を拡張し、ワイヤレス電力伝送に適用する。駆動するモータの種類を問わない直接トルク制御のための制御法を応用することにより、ワイヤレス電力伝送への適用も容易であることを期待している。シミュレーションと実機実験により有効性を評価し、モータ駆動システムのように「ベクトル制御」, 「パルス幅変調」, 「三相インバータ」の標準構成があれば、より多くの機器にワイヤレス電力伝送を適用できるようになることを目指す。 2018年度は項目A「モータ駆動システムとワイヤレス電力伝送の共通点整理」についてモータ駆動システムとワイヤレス電力伝送について整理、課題出しを行った。システムを最も簡単化するために1次側を三相電圧源と変圧器のみ、2次側をダイオードブリッジによる整流回路と負荷抵抗で構成した。シミュレーションにより電力伝送特性を得た。電圧と電流についてd,q軸成分で整理することによりベクトルとして運転特性を確認できるようになった。実用を想定した課題として、コイルに印加する電圧・電流の基本波周波数が高くなることから、モータ駆動システムにおけるパルス幅変調ではなく、方形波駆動を適用する必要があり、電力制御について引き続き検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
検討に用いたコイル仕様より、無効電力が非常に大きく、電力伝送の効率が悪い状態であるため、コイル仕様について従来システムから変更が必要であることがわかり、今後の検討課題である。 また、次年度の実験準備として、ベクトル制御を適用しやすい構成にするため、三相インバータを導入した。当初の計画ではワイヤレス電力伝送で一般的なフルブリッジ構成とし、業者へ試作依頼する予定であったが、モータ駆動システムの制御法適用の可能性を優先し、三相インバータとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き項目Aについて実測値を用いた特性評価を進める。また、次のBとCの項目を実施する。 「B. ワイヤレス電力伝送システムへのモータ駆動システム制御法の適用」これまでは単相コイルを1対1で使用することが多く、ベクトル制御の考え方は積極的に利用されていないが、三相巻線による構成も研究されていることからベクトル表現の検討を行う。これまでに類似例が少ないことから検討が難しい面も多いことが予想されるが、電力変換器の制御法の適用や、座標変換等により単相や三相の違いを吸収できるよう工夫を加える予定である。項目Aで得られた結果より、電力最大化を達成する条件を明らかにし、最大電力点に追従するための制御法を考案する。ここでは、電磁エネルギー変換を用いる他の電気機器を参考にし、モータの数式モデルが直交座標上で表現されていることから、ワイヤレス電力伝送システムについても電圧と電流の関係を数式モデル化する。 「C. シミュレーションと実機実験による有効性検証」シミュレーションソフトウェアを用いて、項目Bで新しく構築した制御法による伝送電力最大化が実現できることを確認する。電圧や電流の制限値を大幅に超過するなど制御特性が不適切な場合には項目Bに戻り再検討する。シミュレーションで有効性を確認できれば実機実験による検証を行う。
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Causes of Carryover |
三相回路での実測結果を得るために実験装置(三相インバータ)の導入を優先したため、予定していた旅費での支出を取りやめた。残額は次年度の研究関連分野の調査で使用を予定している。
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