2019 Fiscal Year Research-status Report
Application of a variable inertia flywheel to a synchronous machine
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18K04108
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
近藤 潤次 東京理科大学, 理工学部電気電子情報工学科, 准教授 (20357049)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フライホイール / 電力貯蔵 / 慣性モーメント / 機械損 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で昨年度に設計・制作した実験装置を用いた実験において,昨年度の時点で,下記の2つの問題が生じていた。1.同期機による運転の際にトルクや電力に数Hzの脈動が発生する。2.この脈動の影響でエネルギーバランスの解析ができない。 今年度は,2.の問題を改善すべく,同期機の代わりに誘導機を用いて実験を行った。この場合は脈動が生じないためにエネルギーバランスの解析を行うことができたが,放電運転時に実験装置から正味のエネルギーを取り出せていないことが明らかになった。その理由として,慣性モーメント制御機構での機械的な損失がフライホイールからのエネルギー放出分を上回っている可能性を考えた。これを明確にするため,慣性モーメント制御機構部とフライホイール部を切り離し,慣性モーメント制御機構部のみを動かした際の機械損の測定を行った。その結果,500rpmでの運転の際に47Wもの損失が生じており,これが正味のエネルギー放出を妨げている主要因であることを明らかにした。ここまでの成果について,令和2年電気学会全国大会にて発表した。 放電運転時の実験装置からの正味のエネルギー放出を実現すべく,この損失を減らす方法を検討したが,実験装置の組み直しは手間と費用の点で困難と判断した。そこで,この損失を上回るエネルギー放出となるよう,フライホイールの慣性モーメントの変化率を,錘を重くすることで増やすこととした。500rpmでの運転の範囲での,設計上の許容上限として,錘を2倍まで増やせることを割り出し,交換した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書では,2019年度に同期機による実験と慣性モーメント制御機構の確認を実施する予定であった。 前者に取り組むことができなかったので,2020年度に早急に取り組む予定である。 後者については完了した。ただし,その損失を計測した結果,フライホイールからのエネルギー放出を上回る大きな損失を生じていることが明らかになった。これは当初予期していなかったが,その損失を上回るエネルギー放出を行うための対策を講じた。また,学会発表も予定通りの学会で1件行った。 上記すべてを考慮し,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずエネルギーバランスに関しては,錘の重さを2倍にしたことで正味の放電を行えるようになったかどうかを早急に確認し,データを収集する。また,同期機を用いた運転に関しても,トルクや電力に数Hzの脈動が生じる原因を突き止め,解決することを目指す。これらの成果を国際会議などで積極的に発表していく。
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Causes of Carryover |
慣性モーメント制御機構部での損失がフライホイールからのエネルギー放出を上回るという,当初想定していなかった装置の特性が明らかになった。そのため2019年度は,これを改善することに注力した。そのため,同期機での運転に関する実験に取り組むことができず,そのために予定していた物品費に差額が生じた。また,学会発表のための旅費に差額が生じた。次年度は,同期機での運転に関する実験に取り組むことと,学会発表をより積極的に行うことで,差額を利用する。
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