2019 Fiscal Year Research-status Report
落雷位置標定システムを用いた冬季雷地域に建設された風車への落雷予測に関する研究
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18K04111
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
山本 和男 中部大学, 工学部, 教授 (50332052)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 冬季雷 / 風車 / 雷害 |
Outline of Annual Research Achievements |
冬季雷地域にある4基の風車に設置された落雷検出装置で記録された落雷データから,風車への落雷と断定できたデータを抽出し,それぞれの落雷の前後約1時間,かつ,風車を中心とした半径50 km圏内でJLDN(Japanese Lightning Detection Network)によって検知された観測データを収集,風車への落雷と周辺落雷との関係を2018年に引き続き2019年も検討した。 2018年度はN風力発電所への落雷データ(4件)の分析を行い,落雷時刻以前にJLDNによって検知された落雷は全部で3件存在した。しかしながら,それらのいずれの雷も,N風車近傍でJLDNによる事前の周辺落雷を検出することはできなかった。 N風力発電所への落雷は,風車周辺で突発的に雷雲が発生し,風車に落雷を発生させる場合が多く,風車への落雷をJLDNのみにより予見することが難しいことがわかった。一方で,H風力発電所では南西方向から雷雲が近づいてきて,風車に落雷を発生させそのまま北東の方に通過するような現象を観測することができた。A風力発電所はH風力発電所と同様,北西から雷雲が風車に接近し風車に落雷を発生させ,南東の方向に過ぎ去っていく場合が多かった。この様な落雷については,JLDNにより風車への落雷の危険性を予測できることがわかった。 2019年度は十数年間で最も落雷の少ない年となってしまい,対象とする風車への落雷が2月末まで観測できなかった。3月に数件観測することができたため,その結果を分析中である。 その他,突発的に発生する雷雲を,静電界計測により予見することができる可能性があり,N風力発電所周辺に静電界センサを設置し,計測を開始した。3月に発生した落雷について2020年度に分析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の風車への落雷は年度終盤に発生し,その分析はまだ終了してはいないが,N風力発電所への電界計測系の設置などその他は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の風車への落雷についてJLDNや静電界計測により予測可能であったかを検証し,地域ごとの閾値を推定する。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの関係で年度末の出張(データ収集など)を控えたため。また,データ収集を控えたため,データ整理業務に関わる謝金の支出が次年度の繰越となったため。
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