2019 Fiscal Year Research-status Report
航空機用炭素繊維強化プラスチックの雷電磁環境解析法の開発と耐雷設計法の立案
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18K04113
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
馬場 吉弘 同志社大学, 理工学部, 教授 (70319466)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 雷 / 炭素繊維強化プラスチック / 耐雷 / 電磁環境 / 発生熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)は,軽量かつ高強度であるため,航空機体への適用が進んでいる。航空機体に用いられているCFRP積層板は,繊維方向とそれ以外の方向の導電率が著しく異なる薄い層(約0.2 mm)が,繊維方向を変えて数十層も重ねられている。このため,CFRP積層板を用いた航空機に雷撃が生じた場合,金属機体に比べて,雷電流分布が複雑になり,局所的に高い電界が発生する可能性がある。また,金属に比べて導電率が低いことに起因して,発生熱も高まり,さらに,機内に侵入する雷電磁界パルスの振幅も大きくなると考えられる。燃料タンク近傍での高電界や高温の発生は,爆発に繋がる危険性があるため,耐雷対策が不可欠である。しかし,このような薄くて異方性をもつ層構造のCFRP機体の耐雷設計は手探りの状態で,未だ確立されるには至っていない。本研究では,雷撃を受けたCFRP機体内の雷電流分布,各部の発生電界,発生熱のシミュレーション法とモデルの開発を行い,より効率的なCFRP航空機の耐雷対策の立案を行うことを目的としている。 令和元年度は,電磁界・サージ現象の時間領域有限差分(Finite-difference time-domain, FDTD)法に,熱伝導方程式に基づく計算ルーチンを組み込み,雷電流が流入した際の発生熱を解析できるプログラムを開発し,その妥当性および精度等について検討を行った。この成果を含め,関連した研究の成果は,IEEE(米国電気電子学会)論文誌等の8件の雑誌論文として掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
必要十分な研究時間を確保でき,令和元年度に予定していた課題に取り組むことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度には,予定通り,前年度までに開発した電磁界と熱の練成解析技術を用いて,雷撃を受けた炭素繊維強化プラスチックパネルおよび機体の解析を行い,効果的な耐雷設計の立案を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,3月に開催予定であった複数の学会が中止されたため,参加費や旅費が不必要になったためである。最終年度となる本年度には,幾つかの成果が出ると予想され,それらの論文掲載料等に使用する予定である。
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Research Products
(17 results)