2018 Fiscal Year Research-status Report
材料構造の3Dプリンティング異方性制御による直流絶縁破壊メカニズムの解明
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18K04120
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyota College |
Principal Investigator |
光本 真一 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 准教授 (40321492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗本 宗明 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 寄附研究部門准教授 (70580546)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 電力機器 / 固体高分子 / 直流絶縁破壊 / 空間電荷 / 3Dプリンタ |
Outline of Annual Research Achievements |
再生可能エネルギー社会の実現および電力需要の増加に対応するため,電力ケーブルをはじめとする電力機器の大容量化および高信頼化が進められている.また現在主流となっている交流電力送電をHVDC送電に置き換えることができれば,充電電流等による損失が払拭され,エネルギー損失を小さくすることが可能になる. しかし電力機器に使用される固体絶縁材料では,HVDC印加時に空間電荷が材料界面等の欠陥に蓄積し局所電界が集中する箇所が弱点になる可能性がある. 最近,3Dプリンタ技術がさまざまな材料を成形できるようになり注目を集めている.3Dプリンタを用いて複雑な形状の電気絶縁材料の製作が行われた場合,これらの有効性を検討するため,空間電荷蓄積および直流絶縁破壊に及ぼす影響を解明することが重要である.今年度は,試料の材料として,アクリルエラストマーを用いた.試料厚さはおよそ0.5 mmであり,積層した1 層の高さは0.1 mm である.積層方向は、シート面に対して0°,45°,90°(以降それぞれ、H,S,Vとよぶ)と制御することにより成形された.これらの積層方向が異なる3種類の試料に,6kVを10分間印加した後,短絡した.以降,電圧を1kVずつ上昇させて同様の電圧印加方法を絶縁破壊が発生するまで継続させた.このときパルス静電応力(PEA)法により発生された空間電荷信号を,ディジタルオシロスコープによって観測した.いずれの試料においても陰極近傍に正極性の空間電荷の蓄積が確認された.正極性の空間電荷最大密度は,試料Hが最も大きくなる傾向も確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,3Dプリンタを用いて実験試料を作成することと,作製された試料を用いて空間電荷測定が可能であるかどうか検討することを目的として研究を進めてきた. 結果として,電極印加面に対して積層方向を制御することのできる試料を3Dプリンタを利用して製作することができた.また,作製された試料を用いて空間電荷測定を行なった. 実験結果としては,電極印加面に対して積層方向が平行である試料Hよりも垂直である試料Vの空間電荷蓄積量が減少する傾向が確認された.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は,電極印加面に対して積層方向の異なる試料を作成するとともに積層厚さも変化させて空間電荷蓄積に対して違いが現れるかどうか検討していくとともに,直流絶縁破壊特性についても検討を開始していく予定である.
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