2019 Fiscal Year Research-status Report
同期ずれを考慮した情報系列の距離・相関のモデル化と符号化法
Project/Area Number |
18K04125
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
金子 晴彦 東京工業大学, 情報理工学院, 准教授 (70392868)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 同期誤り訂正 / polar符号 / DNAストレージ / 挿入/削除誤り / 対称通信路容量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的に沿って研究を実施し,本年度は以下の実績が得られた. (1) ビットドリフト通信路の定義,解析及びpolar符号化法: 同期ずれの大きさ(ドリフト値)が実数値で表されるビットドリフト通信路を定義し,ドリフト値を量子化して近似することにより対称通信路容量を導出した.また,polar符号による符号化とドリフト値を考慮した逐次除去(SC)復号法を提案した.計算機シミュレーションによる評価を行い,量子化ステップサイズと対称通信路容量の関係,通信路分極の特徴,復号語のブロック誤り率,等を明らかにした. (2) オーバーサンプリングタイミングドリフト通信路の定義及びpolar符号化法の提案: nanopore DNAストレージ等への応用を考慮し,ビットドリフト通信路にオーバーサンプリングを適用する手法について研究を行った.オーバーサンプリングドリフト通信路を定義し,この通信路に対するpolar符号化法と逐次除去復号方を提案した.計算機シミュレーションによる評価を行い,通信路分極の特性や,ドリフト値の粒度とサンプリング係数が符号化率に与える影響などを明らかにした. (3) 複数トレース挿入/削除/反転誤(IDS)り通信路に対するシンボル事後確率推定法の提案: illumina DNAストレージ等への応用を考慮し,単一のデータ系列を複数回読み出す複数トレースIDS通信路について,ファクターグラフ上のBPアルゴリズムを用いて入力シンボルの事後確率を計算する手法を提案した.計算機シミュレーションによる評価を行い,MAP推定により高い確率で正しいシンボルが推定できることを示した. (4) その他の基礎検討: IDS誤りをLDPC符号のインタリーブにより訂正する手法,McEliece暗号と組み合わせる手法,等の基礎検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従って,同期誤りのモデル化,応用を考慮した符号化法の構築,など,おおむね順調に進捗している. 国内研究会,国際会議,等での発表もおおむね順調に行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度までに提案した同期ずれモデルについて,より深く理論的解析を行う.また,新しい応用として,特に符号に基づく耐量子計算機暗号への適用について重点的に研究を行う.
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Causes of Carryover |
理由: 2020年3月以降に予定されていた研究会,国際会議の中止に伴い次年度使用が発生した. 使用計画: 論文投稿料,計算機利用料,等に使用する予定である.
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Research Products
(3 results)