2018 Fiscal Year Research-status Report
通信と制御のクロスレイヤ設計による無線制御方式の最適化
Project/Area Number |
18K04134
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 健太郎 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 助教 (40583878)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 制御通信 / 無線制御 / クロスレイヤ設計 / 統合最適化 / 誤り訂正符号 / 予測制御 / Robot Operating System |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,産業機器やロボットを無線により遠隔制御を行う無線制御システムについて,通信と制御のクロスレイヤ最適化によるシステムの高性能化に取り組んできた.具体的には,以下のサブテーマ(1)(2)を並行して検討を進め,以下の研究成果を得た. (1) システム制御の理論を応用した通信資源割当方式 無線制御では通信路誤りによる制御品質の劣化を防ぐことが大きな課題の一つである.通信レイヤでは,通信路誤りの抑制手法として誤り訂正符号化がある.また,制御レイヤでは,通信路誤りの影響を抑制する手法として予測した制御情報をまとめて送信する予測制御手法がある.これらはいずれも必要とする制御情報に冗長を付与することで通信路誤りに耐性をもたせる技術である.本研究では,これら通信レイヤと制御レイヤの冗長を組み合わせる手法を考案した.同じビット数の冗長を付与する場合,2つの冗長を組み合わせた方が高い制御品質を得られることを明らかにした. (2) ROSフレームワークに基づいたネットワーク化制御方式 ROS(Robot Operating System)のフレームワークでは,トピックと呼ばれる非同期通信が主要な通信方式である.一方,一般的なフィードバック制御はコントローラと制御対象が同期して交互に制御情報をやり取りすることが前提となっている.制御情報の受け手側から制御情報の要求が必要となるROSフレームワークでは,これまでの通信モデルとは通信衝突率や通信遅延が大きく異なってくる.本研究では,Raspberry Piマイコンボードを搭載した小型移動ロボットとカメラ,コントローラを用いて複数移動体のフィードバック制御実験系を構築し,ROSの非同期な制御情報の通信により生じる通信の混雑が制御品質に与える影響の評価を行った.実験により,制御台数の増加につれ制御品質が劣化することを明らかにした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に挙げたとおり,サブテーマ(1)については,通信と制御のクロスレイヤの冗長化手法を考案し,その有効性を明らかにした.予測制御の適用は次年度を予定していたが時期を繰り上げて検討を進めている.また,IEEE802.15.4による複数機器の多元接続方式についても検討を進めている.サブテーマ(2)については,ROSフレームワークによるフィードバック制御実験系を構築し,ROSフレームワークによる非同期通信が制御性能に及ぼす影響を明らかにした.
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討結果を踏まえ,サブテーマ(1)については,通信と制御のクロスレイヤの冗長化手法の理論最適化を行い,さらなる性能向上を進める.また,IEEE802.15.4による複数機器の多元接続方式について複数機器の制御情報のスケジューリング手法を考案し,その有効性を明らかにする.サブテーマ(2)については,ROSフレームワークのよる非同期性を考慮した制御情報のスケジューリング手法を考案し,その有効性を明らかにする. 本研究課題で得られた研究成果は,電子情報通信学会,IEEEの各研究会・国際会議等を通じて公表し,関連研究者の意見を取り入れ研究を進展させていく.また,得られた研究成果をまとめ,学会論文誌へ投稿し,成果を公表していく.
|