2019 Fiscal Year Research-status Report
無線電力伝送のための高周波パワーエレクトロニクス理論の確立
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18K04137
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
平山 裕 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70372539)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 無線電力伝送 / 結合共振 / アンテナ / パワーエレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
無線電力伝送技術の学問的背景にはパワーエレクトロニクスを基盤としたものと、マイクロ波技術を基盤としたものに大別できる。前者は分布定数の扱いは範疇外であること、後者は電力伝送を目的としたもので無いため負荷インピーダンスや伝送効率に対する考え方が実用的ではないという問題がある。無線電力伝送技術のさらなる発達のためには、これらの学問領域を統合する必要がある。 これまでの研究で、「無線電力伝送システムとは、電力の周波数とインピーダンス(実部・虚部)とモードを変換するシステムである」という考えを提唱し、これに基づく理論的モデルを作成してきた。 本研究では、この考え方に基づき、結合器(無線電力伝送のために電磁界を空間に発生させるデバイス。コイル・アンテナ・共振器など)を、モード変換の機能のみをもつ「非共振結合器(コイルなど)」と、モード変換・インピーダンス虚部変換の機能を持つ「準共振結合器(自己共振アンテナなど)」と、モード変換・インピーダンス虚部変換・インピーダンス実部変換の機能を持つ「完全共振結合器(間接給電された自己共振アンテナなど)」に分類し、電界結合・磁界結合の観点から、無線電力伝送の結合器を説明する理論を構築した。これにより、結合コイルと共振コンデンサを用い、力率補償の考え方を用いるパワーエレクトロニクスに基づく無線電力伝送システムも、自己共振アンテナを用い、複素共役整合の考え方を用いるマイクロ波工学に基づく無線電力伝送システムも、統一的に説明することができる。2019年度の研究では、基本波に加えて、高調波までを含めた理論の体系化にとりくんだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
他の研究プロジェクトとの相乗効果により、当初は計画していなかった高調波までを含めた理論の体系化に着手できたため
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Strategy for Future Research Activity |
整流回路側のインピーダンス整合について、必ずしも複素共役整合の考え方が最適ではない場合があることが明らかになってきた。今後も引き続き、マイクロ波およびパワーエレクトロニクスの両方の分野の研究者と交流を深め、両分野の理論を包含する理論体系の構築に取り組んでいく。
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Causes of Carryover |
計算機シミュレーションに想定外の時間を要したため、研究計画が遅延し、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は検証実験および学会発表・論文出版費に使用する。
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Research Products
(4 results)