2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K04141
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
葛岡 成晃 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (60452538)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 情報源符号化 / 推測問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビッグデータ解析のためのデータ圧縮法の開発に取り組んだ. 二年目にあたる今年度はまず,初年度から取り組みを始めた,情報源符号化と推測問題(観測データに関する推測を行う推測を行う問題)との関係性に関する研究の継続・取りまとめを行った.ビッグデータに対して推測を行う場合,全ての結果を列挙して正解に到達するまで推測を行うことは現実的ではなく,途中で推測を打ち切ることが必要になる.本研究では,このように途中で推測を打ち切ることを許容する推測問題と,復号誤りを許す情報源符号化との関係を考察した.具体的には,条件付スムースRenyiエントロピーの新たな定義を提唱し,情報源符号化問題および推測問題のいずれの問題に対しても,提唱した条件付スムースRenyiエントロピーを用いることで符号化定理を記述できることを証明した. さらに,VF(可変長-固定長;Variable-Length to Fixed-Length)情報源符号化に関して取り組んだ.本研究では,これまでは主にFV(固定長-可変長;Fixed-Length to Variable-Length)情報源符号化について考察してきた.しかしながら,FV符号化と比較すると,符号語長が一定になるVF符号化はデータ圧縮後のファイルの取り扱いが容易になるという長所がある.これは,実用化の観点からすると重要な点である.本研究では,定常性を満たすとは限らない一般的な情報源に対するVF情報源符号化に関して取り組んだ.とくに,オーバーフロー確率,すなわち,符号化率が所与の閾値を超える確率の性質を考察した.その結果,情報源のエントロピー・スペクトル上限によって,最適な達成可能閾値が特徴づけられることを証明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度からの成果を継続・取りまとめて,情報理論のトップジャーナルであるIEEE Transactions on Information Theoryに掲載することができた.さらに,今年度から取り組み始めたVF情報源符号化問題も,研究会で一部成果を報告できている.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,今年度得られた新しい成果であるVF情報源符号化に関する研究を深化させる方針である.具体的には,(i)データを保存するだけでなくそこから新たな価値を引き出す枠組み(仮説検定など)との関係性の考察,(ii)マルチユーザの枠組みやネットワーク通信への応用を志向した発展に取り組む予定である.
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Research Products
(5 results)