2020 Fiscal Year Research-status Report
移動体通信における通信路情報に基づくポーラ符号化法とその応用
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18K04149
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐波 孝彦 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (60293742)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ポーラ符号 / 通信路分極 / パンクチャリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,次世代無線通信の分野で注目を集めているポーラ符号について,限られた符号語長の場合に誤り訂正能力の低下を抑えられる符号化法および復号法を確立することを目的としていた。この課題に対して,初年度は,半凍結ビットという概念を導入したポーラ符号について検討を行い,誤り訂正能力を向上できることを明らかにした。さらに2年目は,通信路の状態に応じたビットの並び替えを用いるポーラ符号化について検討を行い,更に任意の符号長に対応すべく,パンクチャリングを用いた場合の性能について明らかにした。パンクチャリングとは,符号語のビットを間引く操作であるが,通常,受信機は間引いたビットの値を知らないため復号誤りを増加させてしまう。そこで,ポーラ符号器から出力される各出力ビット(符号語の各ビット)を構成する入力ビット数に着目してパンクチャリングするビット位置を決める方法を提案し,パンクチャリングに起因する誤り率の劣化を低減可能であることを明らかにした。 令和2年度は,組織ポーラ符号に着目し,パンクチャリングを行った場合の更なるビット誤り率特性向上に関する検討を行った。パンクチャリングを行った組織ポーラ符号において,パンクチャされたビットの値が受信機で既知となるよう入力ビットを制御し,さらに復号処理を2段階構成にして,2段目の復号処理において値が既知であるパンクチャドビットを凍結ビットのように扱う尤度計算を導入する手法を提案した。計算機シミュレーションにより,提案手法を用いることで,ビット誤り率特性が向上することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間の中で,半凍結ビットを導入したポーラ符号,通信路の状態に応じてビットの並び替えを行うポーラ符号,およびパンクチャリングを導入した際のポーラ符号の実現方法について,ほぼ予定通りの成果と知見を得ており,国際会議等の発表を経て,内容に関するフィードバックも得られた。あとは,これらの成果をまとめて論文誌に掲載すべく執筆作業を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
3年間を通じて,それぞれの年度で目標としてきた内容については,ほぼ予定通りに期待する結果を得ることができた。これまでに達成してきた成果については,国際会議で計3編の発表を行った。あとは,これらの成果の総まとめとして論文誌への掲載に向けて執筆作業の準備を行っている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延により,参加予定だった国際会議等の研究発表の場にほとんどに参加できなかったため,研究自体はそれなりに進んだものの成果発表が行えていない。次年度は,最終成果のまとめとして現在論文誌の執筆作業中であり,残りの金額は研究成果発表や論文の掲載料として使用する予定である。
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