2020 Fiscal Year Research-status Report
擬似位相整合高次非線形アレイ導波路による全光コヒーレントシリアルパラレル信号処理
Project/Area Number |
18K04153
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
福地 裕 東京理科大学, 工学部電気工学科, 准教授 (70366433)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | フォトニックネットワーク / 超高速情報処理 / 先端機能デバイス / 光スイッチ / 先端的通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
インターネットを基軸とした将来のエクサビット級高度情報化社会では、バックボーン光ネットワークにかつてない超大容量性が要求され、国内外においてディジタルコヒーレント光通信システムの研究開発が活発化している。また、高度なネットワークを形成するためには、高機能で超高速の中継ノードが要求される。 本研究では、理論と実験の両面から、擬似位相整合ニオブ酸リチウムアレイ光導波路の高次非線形光学効果を用いることにより、様々な高度全光コヒーレントシリアルパラレル信号処理機能の実現を目指している。全研究計画では、当該素子に対する数値解析、設計論の確立、最適設計、デバイス試作、原理実験、システム実験、研究の総括、成果公表を行っていく。 今年度は、当初予想もしていなかった新型コロナウィルス感染症の国内外の拡大による、所属機関の入校制限や、3密回避、オンライン化等により、当該研究計画の遂行と予算執行に遅れが生じた。具体的には、各種消耗品の準備や最適設計の設備備品との統合作業等に大きな遅れが生じた。さらに、延期等となった各種学会発表に係る旅費の支出もできなかった。 以上を踏まえて今年度は、当初予定していた最終年度の研究計画について、当該内容は変えない範囲において、1年間の期間延長した研究計画を再構築した。具体的には、当該研究計画の中の理論研究、解析研究、予備実験、原理確認実験の方に主な重点をおいて実施し、各種全光信号処理機能についての研究成果を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の国内外の拡大による影響により、当初の研究計画の中のシステム実験や研究の総括、成果公表などに遅れが生じ、当該研究遂行のための実時間(研究計画のエフォート)も計画当初より低下したため。これらの影響は大きく、現時点でも当初の研究計画の遅れを取り戻せていないため。 具体的には、実験消耗品の準備や設備備品との統合作業等が実施できておらず、その後の実験の遂行に遅れが生じたため。また国内出張については、オンライン開催となった国際会議での口頭発表等があったため。さらに国外出張については、オンライン開催となった国際会議発表や招待講演、次年度の6月へ延期の決まった国際会議発表、次年度の年末に延期の決まった国際会議発表、開催日未定の状態で延期の決まった招待講演等があったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画の遅れを取り戻すべく、今後はシステム実験や研究の総括、公表等を中心に実施する予定である。具体的にはこれまでの研究を踏まえて、各種コヒーレント多値変調信号の一括増幅や雑音抑圧、チャネル交換等の実現を目指す。さらに研究の進展も見据えて、難関ではあるが、再生中継や各種変調フォーマット変換等も実現したい。これらの実験では、これまでに整備した高度の実験設備を効果的に運用し、超高速広帯域動作の実証や、ディジタルコヒーレント光通信システム導入時のインパクト等、システム性能等を測定する予定である。詳細な信号点配置図やアイダイヤグラム、符号誤り率等の分析も行いたい。 得られた実験結果は、全国大会や国際会議等に発表する予定である。また、最後に3年間の成果全体をまとめて、雑誌論文への投稿や研究室ホームページへの掲載、オープンキャンパスや各種セミナー、学会でのブース展示等、広く社会・国民に発信する予定である。さらに、本研究の問題点とその改善法を検討し、国際研究プロジェクト等へ発展させたい。 本研究の最終目標では、擬似位相整合ニオブ酸リチウムアレイ光導波路ベースのスマートな全光シリアルパラレル信号処理機能を備えた、新世代の高度ディジタルコヒーレント光情報通信システムの構築を目指している。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、次の通りである。新型コロナウィルス感染症の国内外の拡大による影響を受け、当初予定していた最終年度の研究計画について、当該内容を変えない範囲において、1年間の期間延長した研究計画を再構築したため。またこれに伴い、必要十分で適切な時期の予算執行計画も再検討し、翌年度への予算繰り越しが望ましいとの結論に至ったため。 その一方で、学内外の共同研究者との長年にわたる強固な協力支援体制により、多くの技術的課題を解決できた。この結果、これまでに整備した光学機器や送受信システム、測定装置等を効率的かつ効果的に運用できた。これらに伴い、当初の研究計画で購入を予定していた機器備品の一部を、これまでのものを工夫して有効活用できるようになり、予算支出を一部節約できたため。 次年度の使用計画は、次の通りである。再構築した研究計画に沿って、今後はシステム実験のための消耗品の準備や設備備品との統合作業、ならびに研究発表や公表等に係る予算に充当する予定である。
|
Research Products
(7 results)