2019 Fiscal Year Research-status Report
Generalized synthetic aperture sensing with wavefront coding
Project/Area Number |
18K04161
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
田村 安孝 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (40171904)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 多次元信号処理 / 波面の符号化 / 合成開口 / L1ノルム最小化 / デルタシグマ変調 |
Outline of Annual Research Achievements |
三次元撮像を想定し,小数回の送受信で得られた超音波エコーデータからL1ノルム最小化によって高分解能な画像を再構成できるか検討した。 生成された画像について参照画像との類似度を評価するMSSIM(平均構造類似性)を用いて画質を評価した。伝達行列の共役転置行列を用いて画像再構成を行う従来法によって再構成された画像との比較を行ったところ,L1ノルム最小化によって再構成された画像は,従来法で得られた平均0.88という値に対して,平均0.95と大きく向上されたMSSIM値を示した。また,計算時間について評価を行ったところ,L1ノルム最小化の計算時間は受信素子数に比例して増加し,三次元物体の画像を再構成するのに約数百秒~千秒の時間を要する結果となった。 次に,前年度の研究で二次元の対象に対して有効であることが確認されたWideNullビームフォーマが三次元超音波撮像システムに関しても有効であるかを検討し,素子数とWide Null領域での感度の関係を明らかにした。数値シミュレーションの結果,周波数3.5MHz,受信素子数128のリニアアレイを用いて,3次元の撮像領域内のWide Nullの相対感度を-41dB以下にできることが示された。また,2次元アレイを用いる場合,受信素子数4096でのWide Null相対感度抑圧比は-31dBとなった。 二次元アレイの信号チャンネル数を低減するための波面符号化の手法として,送受信素子の非線形な特性とデルタシグマ変調による量子化の利用についても検討した。二次元アレイの信号をSDD(Semi Definite Decomposition)処理により2つの一次元アレイ信号に展開する過程を多次元ΔΣ変調の負帰還ループに入れることで,動作周波数と量子化誤差の低減が可能なことをシミュレーションにより確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り,反射率分布が3次元になっている場合の検討をするためのシミュレーション環境と画質評価システムを構築した。線形な処理であるWideNull形成の2次元アレイへの拡張も可能であることを確認した。さらに,開口での波面符号化の一般化の一つである,非線形特性の利用については,研究者らが提案していた多次元ΔΣ変調との組み合わせにより,量子化誤差を大きく低減できるという成果を得た。 しかし,性能要求を満たすための条件と,情報復元の最適な方法を明確にするためのシミュレーションは未着手である。また,非線形特性を利用した符号化の検証用実験システムを構築したが,駆動回路の基礎的な確認に留まっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの年度で構築した数値計算システムを用い,パラメータの範囲を広げたシミュレーションを行う。検討する主なパラメータは,送信素子・受信素子の個数,測定対象の複雑さの指標である反射点の個数とする。素子数と反射点の個数が増加すると計算時間が大幅に増加することが判明したため,数値計算の性能を上げることとする。
|
Causes of Carryover |
FPGA開発ボードを当初計画のものより低価格のものにし,開発ソフトウェアも無料のものに移行したためである。 次年度分として請求した助成金と合わせて,数値計算の環境の増強に使用する。
|