2018 Fiscal Year Research-status Report
FMCW digital holographic method to achieve stress analysis for multilayer coating films
Project/Area Number |
18K04165
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
横田 正幸 島根大学, 学術研究院理工学系, 教授 (80323335)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | FMCW法 / ディジタルホログラフィ / 偏光解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は,マイケルソン型干渉計の光学系を構築し,FMCW法の原理確認に関する実験と数値計算によるシミュレーションを同時に行い,多層塗膜に対する各層の分離弁別解析に必要な条件を洗い出すため,2つの銅板を置き,その再生像を利用した分離弁別解析を行った.具体的には,銅板二つを並べた状態で鋸歯状波で周波数変調した半導体レーザ光を照射し,その反射光を高速度CMOSカメラでホログラム記録する.各銅板位置に対応するビート信号を時系列ホログラムから取得し,それぞれに対する再生像を得る.一方の銅板のみを機械式ステージにより0.5mmずつ遠ざけて行った場合の再生像のコントラストを取得し,分離弁別できた場合は一方が消えるのでコントラストが1になるのを利用して分離弁別度を評価した.また,実験と同時に数値解析も行い,周波数変調幅,変調に伴う光強度変化が分離弁別度に対する影響を調べた.実験及び数値計算の結果から,2物体を分離弁別するには,周波数変調幅から得られる距離分解能の整数倍だけ2物体を離した場合に強度画像のコントラストがほぼ1になることが分かった.また,数値計算から周波数帯域幅を広くした場合,距離分解能が高くなり,また変調に伴う光強度変化に対しても影響を受けにくくなることが分かった.通常の半導体レーザではモードホップの発生などを考えると,実現できる周波数帯域幅はせいぜい50GHz程度であり,この場合では数mm程度の分解能に留まることが分かった.次に,参照光に直交直線偏光を導入し,それぞれの光路長を異なる値にすることで周波数面でホログラムを多重記録する基礎実験を行った.マッハツェンダ干渉計を別途構築し,物体光の偏光状態を記録,再生する実験を行った.定量的な解析はこれからだが,物体光の偏光状態を記録し,そのJonesベクトルを求めることに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記の通り,FMCW法に関する基礎実験と数値計算によるシミュレーション解析により,FMCW-DH法に関する,光源の周波数変調帯域,光源の強度変化,の測定結果に対する影響を調べ,特に周波数帯域幅の影響が優位であることを示した.これに加えて,FMCW-DH法による物体光の偏光記録,解析法の基礎実験も行い,物体光の偏光状態(Jonesベクトル)の記録と解析が可能であることを示した.これらの成果は,国際会議(ISOM2018,GUMI&AMDE2018, IP2019),国内学会(HISS20,OPJ2018)で発表している.基礎実験だけでなく,直交直線偏光を導入した実験にも着手しており,当初の予定よりも研究が進んでいると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後については,FMCW-DH法の基礎的特性の検討において,周波数変調帯域幅を拡大するため,外部共振器型LDを光源とすることを検討している.これにより,変調帯域が現在の20GHz程度から100GHz程度まで拡大することが見込まれ,距離分解能の向上を得ることが可能になると考えられる.また,直交直線偏光の導入により,既知のリターデーションを持つ波長板を挿入した場合について,物体光の偏光状態を変えた時にどの程度の精度で偏光状態を決定できるか,について検討を行う.また,その後は,透明物体を挿入し,物体にくわえた応力の光弾性解析を目指す.
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Causes of Carryover |
研究室の所有の実験装置を利用できた部分があったため,当初予定よりも少ない実験物品購入で済んだため.
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