2018 Fiscal Year Research-status Report
光学投影による磁界の三次元分布情報の取得と磁気微粒子の高精度位置検出への応用
Project/Area Number |
18K04166
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
田上 周路 高知工科大学, システム工学群, 准教授 (80420503)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 光ポンピング / 磁気計測 / 電磁界分布計測 / 信号源推定 / 画像計測 / 磁気微粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,交流励起磁界を生体ファントムに印加し,内部に配置した磁気微粒子集合体から発生する交流応答磁界の三次元分布を,光学式磁界センサによって取得することである.最初に,センサヘッドとなるガラスセルへのアルカリ金属の封入を実施した.封入に必要な真空系の構築とガラス加工によるガラスセルの接続を行った.ガラスセルの精度に問題があり真空漏れなどが生じたが,最終的には測定に使用できるものを作製することができた.次に,磁界分布を得る新規手法として,測定空間の磁界分布をミラーアレイデバイスへ光学的に投影し,ミラーの走査によって高精細な画像化を実施した.空間的に均一な磁界を発生させた場合と,局所的な信号源を配置し,そこから磁界を発生させた場合の磁界分布について,サブミリメートルの空間分解能で測定した.得られた結果は,理論計算で得られた強度分布画像との比較を行い,良い一致を示した.測定によって得られた画像と理論計算による画像を用いて逆問題を解くことで信号源の高精度な位置検出を実証した.0.5 mmの信号源を1.25 mmの深さに配置した場合の推定位置は1.41 mmとなり,高精度な位置推定が実現できた.また,当初計画とは別に,得られた信号の位相を解析することで,測定磁界の方向の特定ができた.アンペールの法則で知られているような,電流を取り囲む磁界の強度と方向をベクトル図として示すことができ,これらの結果を利用することで,信号源の位置推定においてさらなる高精度化が期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
センサヘッドとなるガラスセルへ,アルカリ金属を封入する真空装置系の構築を実施し,センサヘッドの作製を実施した.購入したガラスセルのうち,数個において真空漏れが発生してしまい,封入したアルカリ金属が数日で酸化してしまった.そこで別会社から購入したガラスセルを用いてセンサヘッドの作製を行い,無事測定できるようになった.磁界分布画像を取得できる測定光学系を新たに構築し,ヘルムホルツコイルからの均一磁場と,信号線からの分布磁場の測定を行った.均一磁場の測定結果から,信号強度に対するセンサ出力の線形性と,均一な磁界強度分布画像が得られた.信号線からの分布磁界の測定では,信号線の位置に応じた磁界分布を得ることができ,取得した画像から信号線の位置推定を実施した. センサ出力を解析する中で,出力の振幅から磁界強度が取得できるだけでなく,出力の位相から磁界の方向が取得できることを発見した.実際に信号線からの出力画像を解析すると,信号線を取り囲む磁界の方向が各測定点で確認できた.
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Strategy for Future Research Activity |
本測定手法を用いることで,磁界の強度だけでなく,磁界の方向も取得できる.これは信号源の位置推定を実施する上で必要となる情報量が増え,推定結果の精度向上が期待できる.今後は,まず磁界強度と方向を用いた信号源推定を実施し,推定精度の評価を行う.また,当初の計画通り,3次元位置推定を実施する上で必要な2方向からの磁界分布画像を取得できる光学系を構築する.さらに,磁気微粒子からの信号検出の実証と生体ファントムの作製に取り組む.
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Causes of Carryover |
所属の異動により、装置移動や実験系の再構築が必要となった。また、現所属の事情により実験スペースが確保できなかった。このため、当初購入予定であった光学除振台を次年度購入することになった。
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