2019 Fiscal Year Research-status Report
光学投影による磁界の三次元分布情報の取得と磁気微粒子の高精度位置検出への応用
Project/Area Number |
18K04166
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
田上 周路 高知工科大学, システム工学群, 准教授 (80420503)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 電磁界分布計測 / 信号源推定 / 揺らぎ除去 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,交流励起磁界を生体ファントムに印加し,内部に配置した磁気微粒子集合体から発生する交流応答磁界の三次元分布を,光学式磁界センサによって取得することである.構築した実験系と作製したセンサヘッドを用いて70 kHzの交流磁界信号の空間分布測定を実施した.センサ出力の線形性を確認し,取得した磁界の2次元分布画像を解析することで,高精度な位置推定が実現できた. 一方で,サブミリメートルの空間分解能を実現するには測定時間が数十分必要であり,実際の測定を行うと測定中に環境磁場の極低周波(数Hz)の揺らぎが度々生じた.環境磁場の揺らぎが発生した場合,画像取得のスキャン方向に平行な縞模様が生じてしまい,取得画像やそれを用いた信号源推定に影響を及ぼしてしまう.この問題に対して,磁気シールドや磁界モニタリングによる対策を検討していたが,どちらも測定システムの大型化や複雑化がともなってしまう. そこで,画像取得方法をこれまでのミラーアレイをスキャンする方法から,ランダムパターンを用いたシングルピクセルイメージングの手法を適用し,環境磁場揺らぎに対してロバストな画像取得を試みた.この手法はこれまで構築した測定システムをそのまま適用でき,ミラーアレイの制御を変更するだけで実証実験が可能であった.まだ検討段階ではあるが環境磁場揺らぎの影響を受けにくい測定が可能であり,本手法は今後の3次元分布取得にも適用できると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
測定系の構築やセンサヘッドの作製によって,今後の磁界分布3次元画像化に対応できる測定環境を整備できている.しかし,3次元化に向けた検討を行う中で,当初予期していなかった環境磁場の揺らぎが測定結果に重大な影響を及ぼすことが判明した.環境磁場揺らぎに対して,磁気シールドや外部磁界モニタリングによる対策を検討したが,測定システムの大型化や複雑化を招くために他の方法を探索していた.その中で,ランダムパターンを用いたシングルピクセルイメージングによる画像化手法を取り入れることを検討した.この手法はミラーアレイデバイスを用いた画像化手法の1つとして現在も多くの研究が進められており,計測分野においても注目されている手法である.本研究課題における磁界分布測定への適用が可能と考え,実証を試みた.まだ検討中ではあるが,スキャンと同等の磁界分布画像の取得や,環境磁場揺らぎの影響も受けにくいことを確認できた.これにより,計画していた測定実験系を大きく変えることなく,ロバストな測定手法の適用を実現できた.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの進捗において,当初予期していなかった揺らぎの影響に対して新たな画像化手法を用いて克服できる予定である.最初に,現在取り組んでいる新手法を用いた磁界の三次元分布の取得についての実証を行う.従来のスキャンによる画像化と比較して,その有用性が確認できた時点で,微小コイルや磁気微粒子を測定対象として磁界分布の取得を実施する.
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