2020 Fiscal Year Research-status Report
骨折回避AIナビゲーションANZENの開発:診断法の策定から臨床試験まで
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18K04179
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
酒井 利奈 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (10383647)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人工股関節置換術 / 術中骨折 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工股関節置換術(THA)の際に生じる術中骨折を回避する目的で,人工股関節ステムを大腿骨に打ち込む際のハンマリング音を骨折の予測に利用する方法を考案してきた.臨床でデータを収集する場合には,患者の骨質に個体差があることが想定されるため,当該年度は骨質の違いにより最大ピーク周波数に変化があるか否かについて明らかにすることを目的とし,THA術中骨折回避システムの改良点について検討した. 定量的な結果を得るため,対象は同じ骨質で実験を繰り返すことができるバイオメカニカル試験材料を用いた.人工関節用荷重試験機の固定部に模擬骨を固定し,ハンマでインサータを介しステムを叩いた時に発生したハンマリング音を周波数解析した. THAの適応となる患者の骨質を想定した10pcfの模擬骨を対象としたハンマリング音の最大ピーク周波数は2.98±0.73 kHzであった.健常者の骨質を模擬した30pcfの模擬骨を対象としたハンマリング音の最大ピーク周波数は2.15±0.32 kHzであることが明らかになった.骨質の違いにより最大ピーク周波数に有意に変化が認められ,骨質が高くなるほど周波数が低くなり,環境音と帯域が重複することが明らかになった. THAの適応となる患者の骨質は低く,最大ピーク周波数は3 kHz付近であることが予想されるため,術者の声による環境音とは識別可能と判断した.THA適応となる患者の骨と機械類がぶつかる音の最大ピーク周波数が一部重複することが確認され,誤検出を防ぐ対策を講じる必要がある.対策として,金属がぶつかる音の逆位相の波を発生させ打ち消すアクティブ・ノイズキャンセリングなどが考えられる.ハンマのハンドル部分に加速度計を取り付け無線でデータをとばし,ハンマリングにトリガーをつけ差別化するなどの方法が考えうる対策である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究を計画通りに進めているため.
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Strategy for Future Research Activity |
本取組の最終目標は,医師と患者に安全・安心を提供できるナビゲーションを提供することである.当該年度は模擬骨と生体骨の物性の差を明らかにする中期のフェーズと位置付けた.今後は手術室への持ち運びと操作性が簡便な小型デバイスの改良を重ね,医師によるアクセシビリティの検証を進めていく計画である.
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Causes of Carryover |
オンラインで学会発表が開催され,計上していた旅費の支出がなかったため次年度使用額が生じた.使用計画としては論文投稿費にあてる計画である.
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Research Products
(6 results)